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2022年12月8日(木)

きょうの潮流

 かつてそこは子どもたちの楽園でした。南国の花々が咲き乱れ、色とりどりの鳥がさえずり、海がひろがる。学校から帰ると大草原のように続く裏庭を駆け回る▼ハワイ・真珠湾の真ん中に浮かぶフォード島。米艦隊の拠点として滑走路が大部分を占め、周りに軍艦がずらりと並ぶ島には海軍や海兵隊員の家族が住んでいました▼1941年12月7日(日本時間8日)。日曜の朝に突然鳴り響いた爆発音は平和な日常を一瞬にして変えてしまいました。「翼に赤い丸が描かれた飛行機が頭上に」。泣き叫ぶ赤ん坊、逃げる子、半狂乱の母、パジャマのまま出撃していった父▼次つぎと炎に包まれる戦艦から燃え盛る油の海に飛び込む兵士たち。太平洋戦争の始まりを体験した家族の証言をまとめた『パールハーバーの目撃者』は、日本軍の奇襲を受けた一日をまざまざと伝えています▼敵基地への先制攻撃。それは日本にとっての、破滅への第一歩でした。ところが、今につながる過去を忘れ、自民、公明の両党は敵基地を攻撃する能力を保有することで合意しました。みずから仕掛け、国の内外に未曽有の惨禍をもたらした戦争。その反省の上に立った戦後日本の安保政策をひっくり返し、岸田政権は大軍拡に走り出しました▼長崎で教員を長くつとめ、先の本の訳者でもある山本みづほさんは、あとがきでこんなことを。「沖縄、ヒロシマ・ナガサキ、そして、パールハーバー。もう一度考えてみなければならないと、強く、強く、思うのです―」


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