2022年12月7日(水)
カタール発ゴール
「新時代みせた」
ぼう然と立ち尽くす、手で顔を覆う、ピッチに手をつきすすり泣く日本の選手たち―。
PK戦で勝負が決した直後、クロアチアのFWペリシッチは歓喜の輪に加わらず、日本選手を慰めに歩く。冨安の健闘をたたえ、吉田を強く抱きしめた。
日本はまたも8強の壁にはね返された。しかし、ドイツ、スペインという世界の強豪をW杯で倒したことは、世界に大きな衝撃を与えたといっていい。
「新しい景色を見ることはできなかったが、日本が世界に勝っていける新時代をみせてくれた」。試合後、森保監督は選手をたたえた。
チームづくりでも財産を残した。選手と監督が意見を交わし、たたかい方を考える。世界でもまれなチームづくりには「選手ファースト(第一)」が貫かれている。
課題も見えた。どの試合でもボールをつなぐ時間を増やすことを目指した。しかし、予想以上に厳しい現実にはね返された。この試合でももう少し回せていれば、疲れた相手を崩せる可能性はあった。「次のステップに進むためには、主導権を握る僕らのやり方が必要」と冨安は話した。
“過去は変えられないが、未来は変えられる”。森保監督が選手に伝えてきた。カタールでの成果と悔しさを胸に「未来を変える」努力が、この夜の敗戦から始まる。(和泉民郎)