2022年12月3日(土)
カタール発ゴール
選手の主体性・創意を尊重
後半のホイッスルが反撃の合図だった。
三笘、堂安という攻撃的な選手を入れ、キックオフと同時に選手は前に出た。
3分、堂安がドリブルから一気にゴールを陥れた。さらに3分後、堂安のクロスを三笘がゴールラインぎりぎりで折り返し、田中が押し込んだ。スペインのエンリケ監督が「パニックの5分間」と振り返った電光石火の逆転劇だった。
日本は前半、ドイツ戦のように守りを固めた。ボールを奪い攻撃に出たり、ボールを回したりしたかったが、スペインのうまさの前にできなかった。前半11分に失点もした。しかし後半、これもドイツ戦同様、一気にギアを上げ攻撃に転じて得点を奪った。
「試合2日前には違うプランを考えていた」。森保監督は会見で明かした。変えた内容はわからなかったが、変更した理由は選手からの意見だった。
「練習後、選手たちが話し合って(練習とは違う)選択肢を伝えてくれた。それで今日の形になった」
監督が選手の意見を取り入れてたたかい方を決めることは、世界ではほとんど聞かない。一方的に監督が決めることが当たり前だ。
しかし、日本は両者が話し合い戦略を練り、より深く理解して試合に臨む。何より選手の主体性や創意を尊重することでその力を最大限引き出している。
監督と選手の新しい関係―。世界が驚く二つの番狂わせの一番の要因がここにある。(和泉民郎)