しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年12月2日(金)

主張

同性婚訴訟判決

「個人の尊厳」保障へ法整備を

 同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、同性カップルらが国に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(池原桃子裁判長)は11月30日、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないのは「個人の尊厳に照らして合理的な理由があるとは言えず、違憲状態にある」との判断を示しました。

 同種の訴訟は、全国5地裁に6件提起されており、今回は3件目です。昨年3月の札幌地裁判決は「違憲」、今年6月の大阪地裁判決は「合憲」としていました。今回「違憲状態」と判断が示されたことは、重要です。

人格的生存に脅威と指摘

 東京地裁判決は、憲法24条2項が、「婚姻」や「家族」に関する法律は「個人の尊厳」に立脚して制定されなければならないとしていることに照らして、同性婚ができないのは、憲法に違反している状態だとしました。「特定のパートナーと家族になるという希望を有していても、同性愛者というだけでこれが生涯を通じて不可能になることは、その人格的生存に対する重大な脅威、障害である」と、踏み込んだ言及をしています。

 その一方で、同性パートナーが家族になるための法制度については「国の伝統や国民感情を含めた社会状況、子の福祉等にも配慮した上で、立法府において十分に議論、検討がされるべき」だとして、立法不作為による賠償請求は退けました。

 婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると定めた憲法24条1項が同性婚も含むかどうかについては、「憲法制定時、婚姻は男女間のものという考え方が当然の前提」であり、現在も伝統的な家族観を重視する立場から国民の中に反対意見があると述べ、同性婚ができない現状は違憲とは言えないとしました。

 人権のとりでであるべき司法が、同性愛に対する差別や偏見を克服しようと提起された訴えに対し、「伝統的な家族観」という、自民党内などの一部勢力が固執する古い人権意識を根拠に判断したことは、残念です。

 札幌地裁判決は、憲法14条「法の下の平等」を根拠に「違憲」としました。これに対し東京地裁判決が「同性愛者は法律婚制度を利用できず、婚姻によって生ずる法的効果を享受できないという不利益を受けている」としつつも、「婚姻を異性間のものとする社会通念」が現在の法律婚制度の土台にあるため、異性カップルとの取り扱いの区別については「合理的な根拠が存する」と結論付けたことは、問題を残しました。

 しかし、現状は憲法24条2項には違反する状態と述べた判決は、法制化を進める上で注目されます。憲法が定める「個人の尊厳」が、いかに日本における人権とジェンダー平等の前進の礎であるかが改めて示されました。

「婚姻の平等」の実現へ

 同性婚を認める国・地域は約30にのぼり、日本でも同性カップルを認証するパートナーシップ制度の導入が242自治体、人口の6割以上に広がっています。同性婚を認めることは大きな流れです。

 個人の尊厳を保障する立場から、国は法整備に踏み出すべきです。日本共産党は「婚姻の平等」を求めるたたかいに連帯し、力を尽くします。


pageup