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2022年11月29日(火)

主張

東京五輪談合疑惑

不正は底なし 全容解明を急げ

 大規模な汚職事件が発覚した東京五輪・パラリンピックで、新たに談合疑惑が明らかになり、東京地検特捜部と公正取引委員会の捜査が続いています。広告最大手「電通」や広告大手「博報堂」などの本社が相次いで家宅捜索されました。巨額な税金が投じられた世界最大規模のスポーツイベントをめぐる闇はあまりに深く、まさに底なしです。利権に群がることを許した構造は徹底的に解明されなければなりません。政治主導で東京五輪を招致した政府と東京都の責任が改めて問われます。

電通の出向者らが主導か

 談合の疑いを持たれているのは、大会組織委員会が2018年5~8月に発注したテスト大会の計画業務の入札についてです。同大会の「計画立案・計画支援業務委託」をめぐって26件の競争入札が行われ、電通や博報堂など9社と一つの共同企業体が計5億円余りで落札しました。

 特捜部と公取委は、各社間で落札者を決めるなどした行為が独占禁止法違反(不当な取引制限)にあたるとしています。電通から組織委の大会運営局に出向していた職員や、電通本体の担当社員が受注の事前調整を主導した疑いがあると報じられています。

 計画業務を落札した企業は、テスト大会実施業務や本大会の運営業務も随意契約で受注しました。テスト大会は18~21年に計56回行われました。本大会と合わせた運営経費は数百億円規模にもなるといわれます。計画業務での入札談合が、テスト大会や本大会での業務受注にどのように関連していたのかが捜査の焦点の一つと指摘されています。

 東京五輪・パラリンピックの総経費は1兆4000億円を超えました。ここには国と都から多額の公費が支出されました。大会経費は当初の予定より膨張しています。東京五輪では経費が適正かどうかをチェックする仕組みがないことが問題になっていました。経費が膨らんだことと談合との関係を究明することは不可欠です。

 東京五輪汚職事件では、電通出身者で五輪組織委元理事の高橋治之被告が総額2億円近くの賄賂を受け取ったとされ、受託収賄罪で4回起訴されました。贈賄側では、紳士服大手「AOKIホールディングス」や出版大手「KADOKAWA」の前会長ら5企業の12人が起訴されるなど深刻な広がりをみせています。

 電通本社は汚職事件でも、関係先として家宅捜索され、多くの同社社員が事情聴取されました。談合疑惑は汚職事件の捜査の中で浮上してきました。組織委でスポンサー選定や公式商品の審査などに携わるマーケティング局には、局長をはじめ電通からの出向者が多くを占めていました。電通元専務の高橋被告が強い影響力を持っていたことが汚職事件の背景の一つです。電通に多くの運営を事実上丸投げしていた組織委のあり方にメスを入れることが必要です。

札幌冬季五輪招致やめよ

 汚職事件では組織委会長だった森喜朗元首相も事情聴取されました。一連の疑惑と政治家とのかかわりも国民の前に明らかにされなければなりません。東京五輪の汚職と談合が判明する中で、30年の札幌冬季五輪招致への国民の疑問は膨らむばかりです。五輪招致はきっぱり断念すべきです。


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