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2022年11月28日(月)

NHK日曜討論 山添政策副委員長の発言

 日本共産党の山添拓政策副委員長は27日のNHK「日曜討論」で、政府が年末の安保関連3文書改定の中で狙う「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有や軍事費増額の財源などについて、防衛力強化に向けた有識者会議の報告を踏まえて各党の外交・安全保障担当者と議論しました。

平和への具体的外交ビジョンを

 北朝鮮の相次ぐミサイル発射や台湾海峡をめぐる中国の覇権主義的行動など日本周辺の安全保障環境について山添氏は「絶対に戦争をさせない具体的な外交戦略が重要だ」と指摘しました。

 その上で、トルコ・イスタンブールで行われたアジア政党国際会議(ICAPP)で、日本共産党の志位和夫委員長がASEAN(東南アジア諸国連合)と協力して、あらゆる国を排除せず東アジアの地域のすべての国を包摂して平和の枠組みをつくる外交ビジョンを訴えたことを紹介。「採択された文書では、ブロック政治を回避する紛争解決の唯一の道としての対話と交渉を強調している。これがアジアの本流だ」と語り、「(政府に)平和のための具体的な外交ビジョンがないということが最大の問題だ」と批判しました。

 自民党の小野寺五典元防衛相は「外交の背景には、その国を囲む力がある程度必要だ。防衛力や経済力がしっかりあることを背景にした外交努力でないと前に進まない」と軍事力一辺倒を正当化しました。

戦争に巻き込む敵基地攻撃能力

 敵基地攻撃能力をめぐる議論では、小野寺氏が「盾の役割として『反撃能力』は重要だ」と主張。公明党の佐藤茂樹外交安保調査会長も「相手の武力攻撃を断念させる抑止力として『反撃能力』を位置付ける意義を共有している」と発言しました。立憲民主党の渡辺周元防衛副大臣や国民民主党の前原誠司代表代行、日本維新の会の三木圭恵衆院議員も「反撃能力」の保有を「現実的だ」などとして認める考えを示しました。

 山添氏は、「反撃能力」の保有を認めることは、これまで憲法上保有できないとしてきた政府見解を「百八十度転換し、憲法違反を公然と進めるものだ」と批判。「敵基地攻撃能力が集団的自衛権とセットで使われると、日本が攻撃されていないのにアメリカの戦争で自衛隊が米軍と一体になって相手に攻め込む(ことになる)。これは相手にとって先制攻撃となって反撃を招く。日本が戦争に巻き込まれていく、きわめて危険な道に進もうとするものだ」と強調しました。

 敵基地攻撃能力と専守防衛の関係が論点になり、佐藤氏は「反撃能力」の行使に関し、安保関連法が定める「存立危機事態」でも可能だとする認識を示しました。山添氏は「攻撃される前に相手の基地をたたくもので専守防衛を超えることは明らかだ」と批判しました。

 さらに山添氏は、岸田政権が米国政府に巡航ミサイル・トマホークなどの購入を打診していると報じられたことをあげ、「(敵基地攻撃能力が)いくら反撃のためだと主張しても、相手にとっては先制攻撃の可能性のある脅威だ。軍事対軍事がエスカレートすることになり、全面戦争につながってしまう」と述べました。

防衛政策の基本逸脱の軍事費増

 来年度から5年間の軍事費の規模が総額48兆円に増額などとされている問題では、「数字ありきではない。積み上げで検討する」(小野寺氏)、「数字が独り歩きしている」(佐藤氏)と否定する一方、増額容認の意見が各党から相次ぎました。

 山添氏は「(増額によって)日本の軍事費はアメリカ、中国に次いで世界3位とロシアより軍事大国になる。専守防衛や軍事大国にならないとしてきた防衛政策の基本を逸脱することは明らかだ」と批判。小野寺氏の発言に対しては「自民党は選挙公約でGDP(国内総生産)比2%という数字を出している」と指摘しました。

 また、報告書で防衛産業の育成、政府と大学、民間が一体となって軍事研究開発、空港や港湾の有事への備え、自治体と住民の協力も得て国力を総合するなどとしていることは「あらゆる分野を軍事最優先で動員する。まるで国家総動員体制だ。過去の戦争と同じ過ちを繰り返しては絶対にならない」と強調しました。

大軍拡のために大増税するのか

 軍事費増額の財源について各党から「将来的には安定財源が必要だ」(小野寺氏)、「国防に関わるものは国債でやるべきではない」(前原氏)などと増税ありきの発言が続きました。佐藤氏は、安定財源を確保すべきだとした上で「いきなり増税は難しい。一時的には国債があっても良い」と国債を容認する姿勢を示しました。

 山添氏は、報告書は国民全体で幅広い税目による負担が必要としているなどとして「大企業の負担にならないように気を使って国民全体で負担せよということであれば、消費税増税も排除されないと言うことだ」と指摘。「大軍拡のために大増税をするのか。国民の暮らしにはまったく気をつかわずに、国を守るためだから国民は我慢せよというのであればかつての戦争と同じだ」と批判し、「平和も暮らしも押しつぶす大軍拡の道を進んではならない」と主張しました。


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