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2022年11月28日(月)

主張

ロシアの集中攻撃

市民の命を奪う破壊許されぬ

 ロシア軍が、発電所をはじめウクライナ全土の民間インフラをミサイルで集中的に攻撃し、停電、断水が広範囲に発生しています。首都キーウ(キエフ)などで最高気温が零下となる日が続く厳しい冬が間近に迫っています。暖房と清潔な水は1日たりとも欠かせません。電力設備の破壊は大勢の市民の命を奪いかねません。国際人道法に反する行為です。ロシアは卑劣な攻撃をやめ、侵略を停止しなければなりません。

厳冬で凍えさせる蛮行

 23日にはロシア軍が各地のインフラ施設をミサイルや自爆型ドローンでいっせいに攻撃し、大半の発電所が運転を停止しました。水道も止まりました。その後も大規模な停電、電力不足、断水が続いています。

 この問題をめぐって同日開かれた国連安全保障理事会の緊急会合でウクライナのゼレンスキー大統領は「気温が零下になる中、ロシアのミサイル攻撃の結果、数千万人が暖房も水もない状態だ。明らかに人道に対する罪だ」とオンラインで訴えました。各国から「市民を凍えさせようとしている」と非難が相次ぎました。

 ロシアの侵略はそもそも国連憲章違反です。民間インフラへの攻撃はそれに国際法違反を重ねる行為です。

 武力紛争が起きた場合の規則を取り決めたジュネーブ条約の第1追加議定書は「民用物は攻撃または復仇(ふっきゅう)の対象としてはならない」「攻撃は厳格に軍事目標に対するものに限定する」と明記しています。飲料水、食料を含め「文民たる住民の生存に不可欠な物の保護」を紛争当事者に義務づけています。原子力発電所に対する武力攻撃については、重大な被害をもたらしかねないとして、軍事目標であっても禁じています。

 ロシアはこの議定書を批准しています。安保理の常任理事国でもあり、国際人道法を厳守する義務があります。

 ウクライナへのインフラ攻撃についてロシアのプーチン大統領は、併合したクリミア半島とロシアを結ぶ大橋で10月に爆発が起きたことに対する報復としています。正当化の理由になりえません。

 同大統領は以前から「あらゆる力と手段」(9月30日の演説)の行使を宣言し、住宅など民間目標を攻撃しています。一部占領地からの撤退など劣勢に追い込まれてきた、この秋以降は民間インフラへの攻撃を強めています。暖房や水を奪うことでウクライナ国民を屈服させようとしています。しかしロシアは国際的にますます孤立を深めています。

侵略停止し直ちに撤退を

 10月12日の国連総会決議はロシアによるウクライナ東部・南部4州併合を無効とし、改めて全土からの即時、完全、無条件の撤退を求めました。過去最多となる143カ国の賛成です。

 決議が、ウクライナの主権と領土保全の尊重を前提に、政治対話や交渉など、国連憲章に基づく平和的解決を国際社会に求めたことは重要です。国連が主導して紛争のエスカレートを抑え、人道危機を打開するために最大限の外交努力を強めることが急務となっています。

 ロシアは国際社会の総意を受け止め、ウクライナからただちに撤退すべきです。


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