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2022年11月26日(土)

きょうの潮流

 まず教えたのは基本でした。キックやヘディング、パスといった基礎練習のくり返し。まさに土台からつくり上げていきました▼デットマール・クラマー。日本サッカー界の古い体質を根っこから変えたドイツ人指導者です。1960年代に招かれ、当時国際試合でほとんど勝てなかった日本代表を世界の強豪と渡り合えるまでに押し上げました▼理論的なコーチ学にとどまらない礎を残しました。国際試合の経験を重ねることやリーグ戦の採用、コーチの育成や組織化、芝生グラウンドの整備。彼の提言はその後の日本サッカーの発展につながりました▼「ドイツには日本の選手を育ててもらい、日本サッカーの発展を助けていただいている。リスペクトして感謝したい」。今回のワールドカップでドイツから歴史的な勝利をあげた後に日本の森保監督が口にした言葉は、過去と現在のつながりを物語ります。いまの日本代表の多くはドイツのリーグで成長しています▼もうひとつ、クラマーさんは大切なことを伝えました。フェアプレーです。技術や戦術とともにそれがそろわなければ、良い試合とはいえないと。先の一戦は両者イエローカードなしの好ゲームでした。その点でも先人の教えは生きています▼クラマーさんはアジアやアフリカをはじめ生涯90カ国を回り、サッカーの伝道師としての役割を果たして亡くなりました。いまや世界中に根づき人びとを魅了するスポーツ。そこには国や勝敗をこえた、さまざまな交流が息づいています。


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