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2022年11月24日(木)

クローズアップ

軍用機騒音と大軍拡 空自・岐阜基地の地元で実態を交流

テレビの音聞こえず 心臓縮む感覚 睡眠障害

 岐阜県と愛知県の平和委員会は20日、航空自衛隊・岐阜基地がある各務原(かかみがはら)市で集会を開き、軍用機の騒音による深刻な健康被害や基地強化の実態を交流しました。日本共産党の本村伸子衆院議員が参加し、岸田政権が進める「敵基地攻撃能力」の保有、軍拡と一体の自衛隊基地機能強化を許さない国民的運動を広げようと訴えました。(玉田文子)


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 岐阜基地には、日本に侵攻してくる航空機やミサイルを攻撃する部隊「第4高射群」や、航空装備品の試験や研究を行う「飛行開発実験団」などが所在しています。13日には3年ぶりに「航空祭」が開かれ、戦闘機や輸送機の編隊飛行が公開されました。

「戦争する国」一体ですすむ

 試験や訓練飛行など軍用機による基地周辺の騒音被害は深刻です。

 集会で両平和委員会は、3~6月に実施した基地周辺住民へのアンケート結果を報告しました。対象は岐阜県各務原市、岐阜市、岐南町、笠松町、羽島市、愛知県犬山市、江南市、扶桑町など約1万世帯で、254人が回答しました。

 「騒音が気になる」は83%、「夜間や朝の訓練はやめてほしい」は79%に及びました。「テレビの音や会話が聞き取れない」「心臓が縮むような感覚を覚える」「防音工事をしたがうるさくて通話できない」「家の窓がビリビリと音を立てる」「子どもがおびえて大泣きする」などの実態が寄せられ、体調不良や睡眠障害を訴える人もいます。

 自衛隊基地など国が重要と指定する施設の周辺住民を監視下に置く「土地利用規制法」は「知らない」が72%。「騒音で平穏に暮らせないのに自由に抗議の声も上げられなくなるのではと不安」などの声も寄せられています。

 岐阜県平和委員会の武藤清吾常任理事は、回答者の背景に基地問題を気にかけている何倍もの住民がいると指摘。爆音問題と岸田政権の「戦争する国づくり」は一体だとして軍縮や核廃絶、平和外交を求める世論を広げていこうと呼びかけ。愛知県平和委員会の矢野創事務局長は、「回答者を訪問すると『声を聞いてくれてありがとう』と感謝を伝えてくれる人もいる。騒音や基地機能強化、『土地利用規制法』への住民の不安の声をすくいあげ基地や防衛省に届けて改善を求めていく」と話しました。

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(写真)集会で報告する本村議員=20日、岐阜県各務原市

相手国からの攻撃リスクも

 本村議員は、日米首脳会談(13日)でも岸田首相がバイデン米大統領に日本の「防衛費の相当な増額確保」を表明したことや、国内では「敵基地攻撃能力」の保有を推進する「国家安全保障戦略」など3文書を年内にも改定することを告発し、「軍拡の加速化、国民負担増の加速化を許さない運動を広げよう」と強調しました。

 岐阜基地には、「敵基地攻撃能力」の強化と連動した電子戦評価システム(電波妨害を受けた機器が有効に機能するかどうかを調べる研究施設)が建設されつつあり、相手国から攻撃されるリスクを高めていると指摘しました。

 「土地利用規制法」について「本来は住民が自衛隊を監視することが憲法上当たり前のことだが、この法律では監視されるのが住民側となり、国民主権の精神に反している」と批判。政府が調査する住民の情報が全て法律に明記されず、政令で運用され、内閣府が一元管理するなどの問題を指摘し、法律の廃止に向け一緒に声を上げようと呼びかけました。

 閉会あいさつで岐阜県平和委員会の篠田久美子代表理事は、限られた人数で手分けして広範囲にアンケートを配布し切実な実態をつかむことができたと強調。「一人ひとりの声は小さいが皆さんの声をつなげると国を動かす大きな力になる。平和を守る運動を引き続き一緒につくっていきたい」と話しました。

 参加した岐阜市の女性は「軍用機の騒音被害に心を痛めている。『戦争する国づくり』と一体に基地の騒音問題もひどくなっていることがよく分かった。基地をなくしていくために力になりたい」と話しました。


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