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2022年11月23日(水)

きょうの潮流

 国名はアラビア語で「滴(しずく)」を意味するそうです。ペルシャ湾に水滴を落としたようなぽつんと突き出た半島。秋田県とほぼ同じ面積の中東の小国カタールです▼英国領から独立して、まだ半世紀。豊富な天然ガスや石油が富をもたらしてきましたが、人材が不足。およそ290万の人口のうち9割が外国人労働者とされています。わずか1割ほどの国民に豊かさが集中しているかっこうです▼その国でサッカーのワールドカップが開かれています。趣向を凝らした競技場が立ち並びますが、大会施設の建設現場では多くの出稼ぎ労働者が命を落としたという指摘も。酷暑と劣悪な環境で事故が相次ぎ、現代の奴隷制だと批判されてきました▼同性愛を法で禁じていることも問題になっています。こうして開催国の人権侵害が注目され、世界や参加選手たちから抗議の声があがるのも時代の流れでしょう。コロナ禍で強行された五輪が汚職や疑惑の舞台になっていた日本でも、スポーツのイベントに対する目は厳しくなっています▼ロシアによる侵略戦争が暗い影を落とすなか、スポーツを通して世界が一つになることには意義があるはずです。だからこそ、差別のない平和な社会にむけた発信力、フェアですがすがしいたたかいがもとめられています▼日本代表は今夜、強豪ドイツとの初戦を迎えます。悲願だったW杯出場の夢が土壇場でついえた「ドーハの悲劇」から29年。カタールの首都で流した、あの悔し涙からの成長と進化を見たいものです。


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