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2022年11月21日(月)

損失と被害補償へ基金

設立を初合意 COP27閉幕

 エジプトで開催されていた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は20日、発展途上国が求めてきた気候変動による損失と被害に対応する基金を設立することで初めて合意し、閉幕しました。

 アフリカ西部ガンビア政府代表の1人は、「本当にエキサイティングな瞬間だ。途上国は30年も温暖化による損失と被害に耐え、国際社会に具体的な行動を求めてたたかってきた。途上国にとって大きな勝利だ」と喜びます。

 締約国は、基金を運用化するための「移行委員会」を設け、来年のCOP28までに検討と採用に向けた勧告をすることで合意しました。

 温室効果ガスをほとんど排出していないのに温暖化の影響が強い途上国は、気候変動による損失と被害の補償を長年求めてきました。これに米国をはじめ先進国は反対してきました。

 とりわけ途上国で洪水や干ばつなど甚大な被害が相次ぐなか、今回のCOPは損失と被害への資金調達が初めて正式議題になりました。途上国が基金設立を求めたのに対し、先進国は抵抗。会期中、会場ではアフリカなど途上国の環境活動家だけでなく、先進国の若者も損失と被害の補償を求めて声を上げていました。

 合意文書は、気温上昇を産業革命前と比べて「1・5度に抑えるため、さらなる努力を追求する決意をする」と確認し、温室効果ガスの大幅な削減を求めました。一方、多くの人びとが求めていた「全ての化石燃料の段階的廃止」は盛り込まれませんでした。

 締約国は、今後10年間で再生可能エネルギーへの公正な移行を進めることで合意。再生可能エネルギーに対し、2030年まで毎年約4兆ドルの投資が必要だと確認しました。

 来年のCOP28は、アラブ首長国連邦(UAE)で開かれます。(シャルムエルシェイク=秋山豊)


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