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2022年11月20日(日)

主張

中小企業過剰債務

本格的支援に政府責任はたせ

 日本経済の土台を支えている中小企業と小規模事業者が、コロナ危機、原材料や燃料などの物価高騰に加え、コロナ禍への対応で受けた融資(ゼロゼロ融資)の返済が迫るという「三重苦」に陥っています。とくに過剰になっている債務の負担軽減は、年末に向けて解決が急がれる課題です。

運転資金の調達難しく

 ゼロゼロ融資は、金融機関に都道府県が利子を補給し、信用保証協会が元本を保証することで実質無利子・無担保で最長3年間、お金を借りられる仕組みです。コロナ禍で中小企業の経営を支えるためのものですが、融資残高は2022年度末で42兆円に達しています。一部で返済も始まっており、中小企業がやむなく借りた過剰な債務が大きな問題となっています。

 民間調査会社・東京商工リサーチの「第9回債務の過剰感についてのアンケート調査」(10月3~12日)では、債務が「コロナ後に過剰となった」と回答した中小企業は19・4%です。「コロナ前から過剰感がある」の11・3%と合わせると合計30・8%が「過剰債務」だと回答しています。

 金融機関は過剰債務を抱えた中小企業に新規の融資を渋るようになり、新たな運転資金の調達が困難になります。運転資金が借りられないと仕入れや人件費の手当てができず、仕事がきても受けられずに倒産してしまう「資金繰り倒産」に陥ります。また、過剰債務が経営全体を圧迫するため、設備投資を含めた新たな事業展開、再構築ができなくなってしまいます。

 東京商工リサーチのさきの調査では、「過剰債務が事業再構築の足かせになっている」中小企業は、35%になっています。

 コロナ禍の継続の上、物価高騰はさらに深刻化する見通しです。「過剰債務倒産」に加え、「物価高倒産」や、長引く苦境に心が折れて倒産・廃業に追い込まれる中小企業が急増することが強く危惧されます。

 民間調査会社・帝国データバンクの調査(11月4~9日)では、原材料費や光熱費、輸入コストなどの高騰で、企業の54・3%は、事業継続が可能だが「厳しい」と答えました。同調査には、「需要は15%ほど落ち込んだまま人手を確保するために賃上げを実施し、コロナ融資の返済を目前に控えまさに危機的状況」(塗料卸売業)という声が寄せられています。

 日本共産党は、ゼロゼロ融資について、いったん通常の融資から切り離して「別枠債務」とすることで、新たな資金調達を可能とすることを提起しています(10日発表の「物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案」)。新たな融資を運転資金とすることもでき、事業の再構築など事業継続に利用できます。

 「別枠債務」は政府支援で一定期間、無担保・無利子のまま返済を猶予し、債務減免のための枠組みをより小規模の事業者にも適用するなどします。

日本経済再生のため急務

 中小企業は、企業数で99・7%、雇用者数でおよそ7割を占めます。中小企業を救う対策は日本経済の再生にとっても急務です。

 地域に根をおろしている中小企業を支えることは、雇用と経済を守り発展させることにつながります。国と自治体はその責任を果たすべきです。


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