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2022年11月19日(土)

主張

寺田総務相の進退

これ以上の続投は許されない

 寺田稔総務相の「政治とカネ」疑惑は深まるばかりです。自身の政治団体の不透明な資金の流れとともに、昨年の総選挙での公職選挙法違反疑惑も浮上しました。選挙や政治資金を所管する総務省の責任者としての資格がないことが一層明瞭になっています。野党の辞任要求だけでなく与党内からも進退を問う声は上がるものの、寺田氏は「引き続き職責をしっかりと果たす中で岸田内閣を支えたい」(18日の記者会見)と辞任の意思を示しません。続投を容認する岸田文雄首相の責任は重大です。

昨年の総選挙でも新疑惑

 総選挙での新疑惑は16日、『週刊文春』電子版が報じました。寺田氏は選挙運動費用を自身が支出したと広島県選挙管理委員会に報告しながら、実際は「寺田稔竹原後援会」(同県竹原市)が一部を負担していました。公選法違反(虚偽記載)の疑いは濃厚です。寺田氏の支出が架空だったとすれば、「裏金」に回った可能性もあります。同誌は、寺田氏が選挙区(広島5区)内の地方議員に違法な報酬を支払った疑惑も伝えています。

 「寺田稔竹原後援会」をめぐっては、政治資金収支報告書に添付された領収書11枚の宛名の筆跡が酷似していることも問題になっています。日本共産党の井上哲士議員の追及(16日、参院政治倫理選挙特別委員会)に、寺田氏は、発行者から宛名が空欄の領収書を受け取り、後援会の事務担当者が宛名を記載したことを認めました。井上氏は、総務省の政治資金適正化委員会の政治資金に関するQ&Aでは、領収書などの宛名は「関係政治団体側で追記することは適当ではありません」と記されていることを挙げ、寺田氏を批判しました。

 寺田氏は、同氏の関係政治団体が事務所を置くビルの一部を所有する妻に多額の賃料を支払っていたことや、後援会の会計責任者として故人名を記載し、政治資金収支報告書を提出していたことなどが次々と発覚しており、そのたびにつじつま合わせの答弁で、ごまかし続けています。

 政治資金規正法は、「政治活動の公明と公正」の確保を定め、政治団体は「政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない」としています。同法の趣旨に照らしても、寺田氏には閣僚の資格はありません。説明責任を果たし、辞任すべきです。

 2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件で河井克行元法相、河井案里元参院議員は有罪となり、自民党の金権体質は厳しく批判されました。この事件の解明も途上です。寺田氏の一連の疑惑は、同事件に根本的反省のない自民党の姿勢を改めて浮き彫りにしています。

罷免拒む首相に批判の声

 寺田氏の「政治とカネ」疑惑は10月初めに発覚して以来、岸田首相は同氏の罷免を拒否しています。首相と同じ自民党の派閥に属し、首相側近とされる寺田氏をかばうのかとの声も上がります。

 山際大志郎前経済再生担当相が統一協会問題で、葉梨康弘前法相が死刑をめぐる暴言で辞任しました。「辞任ドミノ」を避けるために寺田氏をさらに続投させることは、国民の不信をますます高めることにしかなりません。


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