しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年11月18日(金)

主張

国連総会・軍縮議論

核兵器廃絶の行動求める世界

 9月に始まった国連総会は、ロシアのウクライナ侵略が続く下で軍縮の議論が行われました。多くの国から、核兵器使用への強い懸念とともに、核廃絶へ直ちに行動をとることを強く求める意見が表明されました。核兵器禁止条約の発効から、来年1月で2年です。世界は核廃絶への歩みをさらに加速させなければなりません。

反核平和が世界の本流

 「今でなければ、いつ前進するのだ」。チャバ・コロシ国連総会議長(ハンガリー)は軍縮を審議する第1委員会で訴えました。ロシアのプーチン政権が核威嚇を繰り返し、米国などが核戦力を増強していることに対し、「今行動しなければ、引き返せなくなるかもしれない」(ガーナ)など危機感に満ちた発言が相次ぎました。

 第1委員会では、8月の核不拡散条約(NPT)再検討会議で、核軍縮の行動を含めた最終文書を採択できなかったことについても議論が集中しました。合意に至らなかったことをめぐり、反対したロシアだけでなく核軍縮を怠ってきた全ての核保有国の責任を追及する声も続出しました。ニュージーランドは、NPT第6条の核軍縮義務が「半世紀にわたって果たされていないだけに、今緊急に履行する必要がある」と強調しました。オーストリアは「核抑止力」とは核兵器を使用して「大量破壊と人々の死、想像を超える苦痛を与える意思がある」ことだと非難し、「核軍拡競争を劇的に逆転させる」ことを訴えました。

 核兵器禁止条約も大きな力を発揮しつつあります。多数の国が6月にウィーンで開かれた同条約第1回締約国会議の成功を歓迎しました。締約国会議後も、新たに4カ国が批准し、条約参加は68カ国となりました。署名も4カ国増えて91カ国となり、国連加盟国(193)の半数に近づいています。

 10月28日の第1委員会では、全ての国に禁止条約への参加を訴えた決議案が124カ国の賛成を得て採択されました。決議案は、締約国会議に非政府組織が参加したことも歓迎しました。昨年、同趣旨の決議案に反対したオーストラリアは、野党時代に禁止条約への参加を公約に掲げた労働党が政権についた下で棄権に転じました。棄権のスイスは条約不参加の立場を再検討するとしています。

 禁止条約を軸に、核兵器廃絶を求める流れが揺るぎなく発展していることは大きな希望です。

 禁止条約に強く反対する米英仏中ロの核保有国も、無視し続けることはできません。核軍縮を迫る国際世論に包囲され、追い詰められているのが実態です。

戦争被爆国の責務はたせ

 第1委員会で採択された日本提出の決議案は、核兵器禁止条約に初めて言及したものの、支持も参加も表明していません。核保有国にも「究極的に」廃絶するための「さらなる努力」を求めたにすぎず、具体的行動は迫っていません。非核保有国から批判が上がり、賛成は昨年の152カ国から139カ国に減りました。米英仏は賛成する一方、中ロは反対し、少なくない非核保有国は棄権しました。「橋渡し」どころか「分断を広げた」と指摘されています。

 岸田文雄政権は、禁止条約に参加し反核平和の流れに合流すべきです。それが唯一の戦争被爆国の責務です。


pageup