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2022年11月17日(木)

核兵器禁止条約参加へ

豪労働党政権“重要な前進”

国連決議案「反対」→「棄権」 核廃絶団体が評価

 ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)は15日、同団体ホームページで、中道左派の労働党が政権を握るオーストラリアが、今年の国連での核兵器禁止条約関連決議案の投票で前政権とは違う行動をとったことについて、「小さいながらも重要な前進だ」と評価・歓迎しました。同労働党政権に野党時代の公約通り核兵器禁止条約の署名・批准を実現するよう呼びかけました。(洞口昇幸)


 国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障問題)では、10月28日に核兵器禁止条約の署名・批准を呼び掛ける決議案の賛否が問われ、オーストラリアは棄権しました。ICANは、オーストラリアが棄権したことについて、同国が条約に5年間反対してきたことを「公式に終わらせた」ものだと、意義を強調しています。

野党時代の公約

 同条約は2017年の国連総会で採択。18年から毎年、条約の署名・批准を呼びかける決議案が提出されてきましたが、米国の「核の傘」に入る同盟国であり保守連合政権だったオーストラリアは、昨年まで反対を投じ続けていました。

 同国は今年5月の総選挙で当時最大野党だった労働党が勝利し、政権交代。労働党は、21年の党大会などで、「効果的な検証制度と法執行の構造、核不拡散条約(NPT)との整合性および普遍的な国際社会の支持を確認する必要性を考慮し、核兵器禁止条約に署名・批准する政権を約束する」ことを確認しています。

 今年6月にオーストリア・ウィーンで開かれた同条約第1回締約国会議では、オーストラリアの労働党政権は、野党時代に政府に求めていたオブザーバー参加を実現しました。

 英紙ガーディアンのオーストラリア版によると、オーストラリアの隣国のニュージーランドやインドネシアの政府高官は、「前向きな動きを見ることができてうれしい」などと述べ、オーストラリアが棄権を選択したことを支持しています。

 ガーディアン紙は一方で、米国の意見として駐豪米大使館が、核兵器禁止条約は米国の核の傘を含む「拡大抑止」を認めていないと批判し、支持できないとするコメントを紹介。オーストラリアが同条約に参加することについて、米政府が「警告」していると報じています。

世論は賛成多数

 ICANオーストラリア代表のジェム・ロムルド氏は、「オーストラリア政府は、オーストラリア国民の意思に基づいて条約参加について、自ら決定しなければならない」と強調しました。

 同氏は、3月の国民への世論調査では、76%が核兵器禁止条約の署名に賛成していることを紹介し、「軍備縮小への前進は、より緊急となっている」と訴えています。


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