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2022年11月17日(木)

「引き出し屋」問題 精神科病院に賠償命令

「自立支援」強制入院は違法

東京地裁「多大な身体的・精神的苦痛」

 ひきこもりからの「自立支援」をうたう「引き出し屋」から連れ出され、その後、強制的に精神科病院に医療保護入院させられたとして首都圏在住の30代の男性が、成仁病院(東京都足立区)に550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(大嶋洋志裁判長)は16日、慰謝料など308万円の支払いを命じました。


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(写真)判決後、記者会見する弁護団=16日、司法記者クラブ

 判決では、原告男性は指定医の診察を受けておらず、医療保護入院の基本的要件を満たしていないとして違法と判断。また、病院が患者本人の同意なしに医療情報を第三者に提供したことはプライバシーの侵害と認めました。原告が「多大な身体的、精神的苦痛を受けた」としています。

 同日会見した男性は「私の主張が認められた。全面勝訴です」と語りました。

 判決によると、2018年5月、「引き出し屋」の業者は男性を自宅から無理やり連れ出しました。男性は50日間にわたり強制入院させられ、3日間身体拘束され、オムツでの排せつを余儀なくされました。

 弁護団の宇都宮健児団長は、精神科病院の医師らが家族らの同意を得て患者を強制的に入院させる「医療保護入院」制度について言及。制度の見直しが必要だとのべました。

 男性は「引き出し屋」業者である「あけぼのばし自立研修センター」を運営していたクリアアンサー株式会社(東京都新宿区、19年に破産)も提訴しており、東京地裁は3月、慰謝料など110万円の支払いを命じています。


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