2022年11月16日(水)
COP27inエジプト
農民ほど気候変動に弱い人いない
アフリカでの被害甚大
WFO理事長語る
気候変動による干ばつや洪水などが農家を直撃しています。特に労働人口の約6割が農業に従事するアフリカでの影響は甚大です。エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に参加する世界農業者機構(WFO)の理事長が、アフリカにおける農業の課題と今後の展望を語りました。(シャルムエルシェイク=小林圭子)
![]() (写真)世界農業者機構・理事長のセオ・デ・イエーガーさん=12日、シャルムエルシェイク(小林圭子撮影) |
自身も農業に携わり南アフリカ人として初めてWFOの理事長を務めるセオ・デ・イエーガーさんは「農民ほど気候変動に弱い人はいない」と強調します。農業は土壌に依存し、気候変動の影響を大きく受けていると語ります。
アフリカの干ばつや洪水は、気候変動によって頻度と強度が高まっています。一たび災害が起これば、その年の作物は台無しになります。回復するのに2、3年かかる場合もあり、多くの農家が貧困に陥っています。「できるだけ早く災害の影響から回復するために、融資の仕組みを構築することが最も重要だ。また、持続可能な農業や、土壌の管理を通じて回復力を高めることも必要である」と主張します。
気候災害は移住や貧困を引き起こすだけにとどまりません。農家の子どもたちは、厳しい生活を強いられ学校に行けない状況もあります。そのような環境で育った子どもたちは「農業から離れ、都市に出たいと思う。優秀な若者たちが農村から逃げ出し、農業自体が将来的に脅かされている」と危惧します。
アフリカの農家の95%以上が小規模農家。平均1ヘクタールほどの農地で、収益性も生産性も低いといいます。生産性を上げるために、機械化やバイオ技術、種子やかんがいなどの新技術が必要だとし「今回のCOPの大きな挑戦は、これらの技術をアフリカ大陸の隅々にいる小農に届けることだ」と力を込めます。
COPに長年参加し、農民の声を代弁してきたイエーガーさん。たたかいの成果として、気候変動対策の国際的枠組み条約である「パリ協定」に、食糧安全保障の確保が言及されました。しかし、まだまだ不十分だと強調します。
「会場には二つのCOPが存在している。各国政府が交渉する場と、私たち農民がアイデアを共有する場です。二つは互いに離れているように見えるが、政府に対し、ドアを開けて私たちとコミュニケーションをとることを望んでいる」と朗らかに笑いました。









