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2022年11月16日(水)

主張

GDPマイナス

持続可能な成長への転換こそ

 15日に発表された2022年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・3%減と4四半期ぶりのマイナスになりました。外需の寄与度がマイナスになったことが響きました。同時に、GDPの5割強を占める個人消費が大幅に鈍化し、成長の足を引っ張っています。賃上げを軸に内需を活発にすることがますます重要になっています。

賃上げで消費の活性化を

 GDPの項目別で個人消費は前期比プラス0・3%の微増でした。4~6月期の1・2%増から伸びが縮まりました。個人消費の実額は298兆円と、コロナ危機が深刻化する直前の20年1~3月期の296兆円とほぼ同水準です。19年10月の消費税増税前の300兆円台は下回ったままです。

 民間住宅投資は資材費の高騰を受けて0・4%減と5期連続のマイナスでした。

 増税、コロナ、異常な物価高が国民の暮らしを悪化させていることはこれらの数字で明らかです。物価高は今後も続く見通しで、コロナ感染も増えつつあります。小手先の対策では間に合いません。

 日本経済が弱体化している最大の原因は長期にわたって賃金が上がっていないことです。アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)の10年間で1人あたりの実質賃金は年収にして24万円も減ってしまいました。物価が急騰した4月以降は特に落ち込みが顕著です。今期のGDPで雇用者報酬(賃金、報酬や社会保険料など)は前期比0・8%低下しました。

 岸田文雄政権は「総合経済対策」で「構造的賃上げ」を掲げますが、中小企業の賃上げを直接支援する施策がありません。22年度第2次補正予算案に盛り込んだのは業態転換や生産性向上への補助制度です。コロナ危機で苦しむ中小企業に届く支援ではありません。

 賃金が上がらない一方で、大企業はもうけを増やし、内部留保をさらに積み上げています。暮らしと経済を回復させるには、このゆがみを正すことが欠かせません。

 日本共産党は、大企業が12年以降に増やした内部留保に毎年2%、5年間の時限的な税を課すことを提案しています。課税対象から賃上げや「グリーン投資」を控除することで賃上げと投資を促します。ここで生まれる税収を財源に、中小企業の賃上げを直接支援します。最低賃金を全国どこでも時給1500円以上に引き上げることも可能になります。

 個人消費を活性化する決め手は賃上げとともに消費税減税です。税率を緊急に5%に下げることで物価全体を引き下げる効果があります。

実体経済立て直す改革へ

 コロナ危機とロシアのウクライナ侵略によって日本経済のあり方が問われています。実質GDPは13年度から21年度まで0・8%しか増えていません。世界でも異常な「成長しない国」になっています。国民の暮らしが悪化し続ける現状を打開しない限り、経済成長もありえません。

 国際通貨基金(IMF)をはじめ国際機関は23年の世界経済が物価高の影響で減速すると予想しており、外需は厳しい見通しです。内需を活発にして実体経済を立て直す改革に踏み出し、持続可能な成長を実現することが急務です。


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