2022年11月11日(金)
主張
生活守る緊急提案
賃上げを軸に経済立て直そう
日本共産党は10日、物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案を発表しました。岸田文雄政権が打ち出した「総合対策」は部分的、一時的な施策に終始しています。最も必要なのは賃上げを軸に実体経済を立て直し、内需を活発にすることです。提案は、国民や中小企業に直接届く支援を行うとともに、アベノミクスで弱体化した日本経済を大本から改革し、持続可能な成長を図るものです。
働く人を豊かにしてこそ
カギとなる賃上げを進めるには雇用全体の7割を占める中小企業への支援が決定的です。何よりも、アベノミクスで膨らんだ大企業の内部留保の活用が重要です。
日本共産党は、大企業が2012年以降に増やした150兆円の内部留保に年2%、5年間の時限課税を行うことを提案しています。賃上げや「グリーン投資」に回す分を控除して大企業の賃上げを促進します。課税で生まれる約10兆円の税収で中小企業の賃上げを直接支援します。これによって最低賃金を全国どこでも時給1500円以上に引き上げることができます。
保育、介護、障害など、国が水準を決めるケア労働者の賃金を全産業平均に引き上げることは政府の責任です。国・自治体で働く非正規労働者の時給は1500円以上にすべきです。
男女の賃金格差の是正も待ったなしです。格差公表の義務づけを実現したことを力にして本格的取り組みに踏み出すべきです。
岸田政権の22年度第2次補正予算案では一般会計の支出29兆円のうち1兆円を「賃上げの促進」に充てますが、7割は中小企業の業態転換や生産性向上を促す予算です。コロナ危機で多大な債務を抱え、新規の設備投資が難しい企業にとって使いにくい制度です。政府が以前から行っている賃上げ減税は黒字企業だけが対象です。これでは賃上げに結び付きません。
政府の物価対策は、ガソリンや輸入小麦、電気・ガス代といった個別の品目に対する一時的な価格抑制策だけです。あらゆる品目が値上がりしているとき、物価全体を引き下げる、最も効果的な対策は消費税減税です。税率を5%に下げることが急務です。すでに100カ国・地域が消費税(付加価値税)を減税しています。日本もただちに踏み切るべきです。
年金の支給額は物価高騰に見合って引き上げなければなりません。高齢者の医療費窓口負担の引き上げや、介護保険制度の改悪は中止が当然です。物価高の中だからこそ、社会保障と教育の国民の負担を減らすことが大切です。
倒産、廃業の危機打開を
多くの中小企業が倒産、廃業の瀬戸際です。消費税の負担を増やすインボイス制度の強行は混乱をもたらすことにしかなりません。
中小企業の過剰債務対策は差し迫った問題です。実質無利子・無担保のコロナ対応融資の残高は3月末時点で約42兆円にものぼります。これをいったん通常の債務から切り離して別枠とし、事業の継続に必要な新規融資を受けられるようにする必要があります。
輸入物価の高騰は食料・エネルギーを海外に依存する日本の危うさを浮き彫りにしました。食料自給率の向上や省エネルギー・再生可能エネルギーの推進は日本経済の再生にとっても不可欠です。








