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2022年11月10日(木)

2022年米中間選挙

不満吸収も矛盾抱え 共和

 米中間選挙で野党共和党は、物価高を一貫して最大の争点に押し出し、最終盤には、犯罪対策に弱腰のバイデン政権では国民を守れないとの主張も強めて与党民主党を批判しました。共和党の勢いは、物価高に苦しむ国民の怒りや犯罪への恐怖を巧みにくみ上げた結果と言えます。

 約40年ぶりといわれる物価高をめぐって有権者からは「食事は安い缶詰で済ませている」「ガソリン代を節約するため車の利用を極力控えている」などの声が聞かれました。出口調査でも有権者が最も関心を寄せたテーマは「インフレ・経済問題」でした。

 共和党は「バイデンフレーション」(バイデン+インフレーションの造語)と呼んで民主党の責任を連日追及し、「共和党政権ならこんなことにはならない」と訴えました。

 また社会の分断や対立による緊張、相次ぐ銃犯罪などを背景に、民主党の治安対策が不十分だとする共和党の主張は、国民にある程度影響しました。

 一方、民主党は石油備蓄放出の決定などのインフレ対策、コロナ危機からの経済回復などの実績を強調。中絶の権利擁護や、敗北時に選挙結果を認めない共和党候補がいるとして民主主義の大切さを訴えました。

 ただ民主党内からは「国民がインフレで苦しみ、大企業が利益を上げるなか、大企業の強欲に立ち向かう姿勢をはっきり示すべきだ」(進歩派のサンダース上院議員)などと、論戦が不十分だと懸念が出ていました。

 ガソリン価格の高騰をめぐって石油大手の超過利潤への課税を求める声が強まっていましたが、バイデン大統領が課税を示唆したのは、投票日間近の10月31日のことでした。

 共和党はインフレ抑制について、明確な政策を示したわけではありません。富裕層や大企業向けの減税、気候変動対策の緩和などの公約を実施すれば、貧困や格差をさらに広げ、異常気象を頻発させるなど国民との矛盾を深めることになります。禁止・制限を狙う中絶についても、国民の過半数は合法だと答えています。

 今後の共和党の行動やそれへの民主党の対応は、2年後の大統領選で問われることになります。(ワシントン=島田峰隆)


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