2022年11月10日(木)
きょうの潮流
見上げる夜空にスマホをかざす大勢の姿がありました。月が欠けはじめ、やがて赤銅色に染まり、ふたたび、輝く満月へ。全国各地で開かれた観察会も興奮につつまれました▼8日の天体ショー。満月が地球の影に覆われる皆既月食と、月に天王星が隠れる今回のような惑星食が重なるのは442年ぶり。前回の1580年といえば、織田信長が石山本願寺を滅ぼした年にあたります。その2年後、天下統一を目前にしながら本能寺の変で倒れた信長にとって月夜に起きた変事は凶兆だったか▼古来、月がむしばまれていくような月食は、人びとにとって忌むべきもので、天変地異の前兆とされてきました。現象のからくりを知る現代人からは想像もつかない恐怖を感じていたのかもしれません▼つみ重ねてきた歴史と時代の進歩を感じますが、今を生きる私たちにも天地の異変へのおびえがあります。地球温暖化がもたらす気候危機によって▼猛暑に干ばつ、豪雨や海面の上昇。異常気象による自然災害は世界の至る所で。エジプトで開かれている国連の会議でグテレス事務総長は「われわれは気候地獄への高速道路を走っている。アクセルを踏み続けながら」と改めて警告を発し、各国首脳に協力を訴えました▼姿をみせない岸田首相のように、存亡がかかった交渉の場に本気でむきあおうともしない国も。次の「ダブル食」の観測は322年後に。環境破壊や戦争、ウイルス感染…。人類は試されています。その時はまた、めぐってくるのかと。








