2022年11月9日(水)
主張
COP27開幕
地球の危機打開へすぐ行動を
国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が6日、エジプトのシャルムエルシェイクで開幕しました。異常気象による災害が年々深刻化し、人類は地球規模の危機に直面しています。二酸化炭素(CO2)をはじめ温室効果ガスの削減目標を引き上げ、気温上昇を抑える行動に踏み出すことに一刻の猶予もなりません。
目標の引き上げが不可欠
10月に二つの国連機関が公表した報告書は、今の対策ではまったく不十分であることを示しました。気候変動枠組み条約事務局は、各国の削減目標を合計しても、2030年の世界の温室効果ガス排出は10年に比べて10・6%増えると試算しました。国連環境計画は現段階の目標を達成しても、世界の平均気温が今世紀末までに産業革命前に比べて約2・5度上昇すると警告しました。
今世紀末までに世界の気温上昇を1・5度以下に抑えることが21年のCOP26で合意した目標です。パキスタンではこの夏、豪雨で、日本の本州と九州を合わせた面積に当たる、国土の3分の1が冠水し、千数百人が死亡しました。1・5度上昇でも洪水にさらされる人口は世界で2倍に増えると予想され、2度以上の上昇となると、悪影響は計り知れません。
大気中の温室効果ガスが一定の濃度を超えてしまうと悪化を止められなくなると指摘されています。破局を避けるためには30年までに世界の排出量を半分近くまで減らし、50年までに実質ゼロにしなければなりません。時間は限られています。今後数年間の行動に人類の未来がかかっています。
COP27の議長国エジプトのシシ大統領が開幕にあたって「交渉を実行に、言葉を行動に移すときだ」と強調したのは当然です。
COP26は削減目標の引き上げを各国に促すことに合意しました。COP26以降、新たな目標を提出したのは9月末までにインド、オーストラリア、ブラジルなど24カ国にすぎません。日本政府も目標を見直していません。これでは1・5度以下の達成は不可能です。先進国や排出量の多い国の目標引き上げが不可欠です。
COP27では、途上国がこれまでの気候変動で被った「損失と被害」への補償が初めて議題となります。米国をはじめ補償を求められている先進国は強く反対しています。産業革命以来、大量の温室効果ガスを排出してきた先進国の責任は重大です。要求に真剣に向き合うべきです。
COP27はロシアのウクライナ侵略のさなかに開かれています。グテレス国連事務総長は開会演説で「今日の危機をもって後戻りやごまかしを正当化できない」として、先進国と新興国による「気候連帯協定」を呼びかけました。排出量が世界1位と2位の中国、米国の特別な責任も指摘しました。
日本は削減に責任果たせ
日本政府の目標「30年度までに13年度比46%削減」は10年比にすると42%減と、世界平均の45%より低く、無責任な姿勢です。
日本共産党は30年度までにCO2を10年度比で50~60%削減する目標を提案しています。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば十分可能です。次の世代に安全な地球環境を引き継ぐために日本政府の責任が問われています。








