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2022年11月8日(火)

教員不足でアンケート

4月より状況悪く

1カ月以上学級担任なし

写真

(写真)教員不足の実態を調査したアンケートについて話す「School Voice Project」と「#教員不足なくそう!緊急アクション」の人たち=7日、文部科学省

 学校の教職員や教育政策の研究者らが7日、文部科学省で会見を開き、夏休み明けの教員不足の実態を調査したアンケート結果を公表しました。始業式時点より教員不足の割合が増え、1カ月以上にわたりクラス担任教諭がいない、教員が体調不良でも受診の時間さえ取れないなど、深刻な実態が分かりました。

 アンケートを行ったのは、「School Voice Project」と「#教員不足なくそう!緊急アクション」です。調査は今年5月に続き2回目。教職員(426人)や保護者(22人)、児童・生徒(4人)がそれぞれ回答しました。

 教員が1人以上不足している学校は、「4月の始業式時点」では小学校で3割、中学校で5割だったのが、「9月1日時点」では小学校は6割近くに、中学校は54%に増えました。

 中学校では「始業式以降7月末まで」に5人以上不足したという回答がありました。専門外の教員が教科指導をしていたり、授業がストップしているケースもありました。

 教育研究家の妹尾昌俊さんは「始業式以降の1学期の間に、産休や育休などで代替が立てられずに教員が足りない学校が増え、状況は悪くなっている」と指摘。「国には正規の教員を増やし、教員が働き続けられる環境を整えることが大切だ」と話しました。

 日本大学の末冨芳教授は「教員志望の学生が現場の過酷な環境を実習で見て、教員になる選択を避けてしまうことが起きている。丁寧に人を育てられる現場をつくることが求められている」と話しました。

 団体は7日、オンライン署名サイト「change.org」で集めた教員不足解消を求める署名1万9306人分を文部科学省に提出しました。

緊急アクションのアンケートに寄せられた声

○子ども

 ・いつも忙しそう。先生がコロコロ変わって、誰が担任なのかわからない感じ。支援学級の担任の先生が体育を教えることになり、私たちは違う先生に習うことがある。いるときもあれば、いないときもある。(福岡・中学校)

○保護者

 ・新採用の先生が7月から病休に入られ、8月で退職。現在は主幹教諭が担任を行っている。新採用の先生が退職したことが保護者としてもショック。残された子どもたち、職員の不安や負担はとても大きい。(新潟・小学校)

 ・夏休み明けから担任が病休となり、少人数加配(の教員)が担任に。教科により、別の教員がくるという中途半端な状態。新担任と子どもたちとのコミュニケーションが十分でないなどの状況から子どもたちの不安が増し、子どもたち自身が担任の変更を教頭に頼みにいったらしい。(京都・小学校)

○教職員

 ・コロナなどで誰かが休むと学校が機能しない。ちゃんと授業ができない。教務主任は超過勤務が続いて過労死レベル。教員が不足することで一人一人への負担が増え、さらにブラックな職場になってしまう。(千葉・小学校)

 ・臨時免許状の先生の授業では実験や実習ができない。安全を確保できないから。先生がいないところの穴埋めで、授業数の増えた先生が病気休暇になった。ストレスによるもので、明らかに教員不足が原因。(大阪・中学校)


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