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2022年11月8日(火)

英最大 看護師労組ストへ

賃上げ・人手不足解消求め

106年の歴史で初

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(写真)賃上げを求める英国の看護師ら(労組RCNのウェブサイトから)

 英国最大の看護師の労働組合「王立看護協会」(RCN)は5日、英政府に対し物価高騰に見合う賃金引き上げと、深刻な人手不足の解消を求めて全国ストライキを行うと発表しました。組合創設から106年の歴史で初めての実施となります。

 RCNはスト実施を問う組合員投票を先月6日から今月2日にかけて行いました。30万人超の組合員に投票を呼びかけ、スト支持が過半数を占めました。

 RCNのパット・キュレン会長は2日に投票への謝意を表明。国営医療の国民保健サービス(NHS)の慢性的な人手不足と、与党保守党政権下の緊縮政策で実質賃金が減少したことにより、結果として患者が犠牲になっていると指摘。「私たちは望んでもいないストライキをせざるを得ない状況に追い込まれた。同僚と患者がこれ以上苦しむのを見てはいられない」と訴えました。

 RCNはクリスマスまでに全国ストを実施する予定。政府に対し、英国の現在のインフレ率(約10%)を5%上回る賃上げと、人員確保に向けた緊急措置を要請しています。

 調査会社「ユーガブ」の世論調査(10月21~22日)では、65%が看護師のストを支持しました。79%がNHSの看護師が不足していると回答しました。

 RCNによると、2010年以降から看護師の実質賃金は2割も減。同労組は「善良で経験豊かな看護師たちが政府に搾取されている」と批判していました。

 看護師不足問題ではイングランドだけで4万7千人の看護師不足。8月には700万人がNHSの診療待ちとなる事態も起こり、現在も600万人以上が待機中だといわれています。

 英国の中央労働団体、労働組合会議(TUC)の調査によると、看護師の親をもつ子どもの9人に1人が貧困状態に追い込まれています。(吉本博美)


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