2022年11月8日(火)
保険証廃止「反対」 医療機関の7割超
導入済みの4割でトラブル
保団連調査
岸田政権は2023年3月末までに、マイナンバーカードを健康保険証として使うオンライン資格確認システムの原則義務化を医療機関に求めています。この問題をめぐり、全国保険医団体連合会(保団連・住江憲勇会長)は、医療現場の実態・意識調査に取り組んでいます。10月14~31日までに回答した医療機関1721件のうち、保険証の廃止に反対する医療機関は73%にのぼり、オンライン資格確認システムを導入した医療機関のうち41%でトラブルが発生するなど、懸念や混乱が広がっている実態が浮かび上がりました。
岸田政権は24年秋に、保険証の廃止を目指す方針を打ち出しています。これに対し、賛成が9%にとどまり、反対は73%にも達しました。
保険証廃止による医療現場や患者への影響・危惧については、「マイナンバーカード利用に不慣れな患者への窓口対応の増加」をあげる医療機関は84%。「システム不具合時に診療継続が困難になる」は73%でした。
オンライン資格確認システムは、導入済みの医療機関が27%、導入準備中が54%、導入しない・できないが18%でした。導入した機関では、運用を開始したものの「利用患者がほとんどいない」との回答が85%でした。
41%の医療機関でシステム運用開始後にトラブルが発生。「被保険者情報が迅速に反映されない(有効な保険証でも『無効』と表示された)」は62%、「カードリーダーの不具合」が39%でした。
今後、オンライン資格確認システムを導入するとした医療機関の90%は、理由として「必要性を感じていないが、義務化されたから」と回答。23年3月末までに導入できるか「不明」が52%でした。
システムを導入しない・できないとした医療機関に理由を尋ねると、「情報漏洩(ろうえい)やセキュリティ対策が不安」「電子カルテなどの改修で多額の費用が発生する」との回答がいずれも65%。「システムの整備費用が補助金を上回る」という回答も51%ありました。
「現場の状況を把握していない」「災害で停電になった時、保険証の資格確認ができない」「現行通りの保険証で十分です」「小児科では生後数カ月でマイナンバーカードを作ること自体が困難と考える」などの自由意見が寄せられました。








