2022年11月7日(月)
主張
寺田氏の政治資金
深まる疑惑 総務相を辞任せよ
寺田稔総務相の政治資金疑惑が、国会で野党から追及されています。同氏の政治団体や後援会の資金の動きに不可解な点が次々と浮上し、政治資金収支報告書の虚偽記載も疑われるなど違法性は濃厚です。政治資金を所管する総務相としての資質を疑問視する声が相次いでいます。寺田氏は4日、「職責を果たしていきたい」と辞任を拒否し、岸田文雄首相も続投させる姿勢です。統一協会との癒着だけでなく、「政治とカネ」の疑惑でも徹底解明と説明責任を果たさない岸田政権への不信は募ります。寺田氏は閣僚を辞任すべきです。
故人の名で報告書提出
寺田氏の政治資金疑惑は10月6日発売の『週刊文春』が最初に報じました。寺田氏が代表の「自民党広島県第5選挙区支部」と関係政治団体「寺田稔呉後援会」の政治資金収支報告書では、2団体は事務所(広島県呉市)の賃料を寺田氏の妻に支払ったと記載しています。2団体は妻が一部を所有する建物に事務所を置いています。『文春』によれば、寺田氏の大臣秘書官は、実際は支払われていないと証言しています。
妻が代表の政治団体「以正会」をめぐっても人件費について脱税が疑われる不透明な金の流れが指摘されています。寺田氏は、問題ないと主張しますが、資料などは示しておらず疑念は深まります。
寺田氏の関係政治団体「寺田稔竹原後援会」(広島県竹原市)の19年と20年の政治資金収支報告書には、会計責任者として19年10月に亡くなった人が記載されていたことも問題になっています。
政治資金規正法は、団体の実態を正確に公開する仕組みとして会計責任者などを変更した場合、7日以内に届け出なければならないとしています。日本共産党の塩川鉄也議員は10月31日の衆院倫理選挙特別委員会で、会計責任者が死去してから3年間も訂正しなかったのは政治資金規正法の規定に反すると追及しました。寺田氏は、規定違反を認めつつも「罰則規定はない」などと開き直りました。
会計責任者は、収支報告書に署名し押印した宣誓書を添付することになっています。提出時点で会計責任者は亡くなっていることから、有印私文書偽造の可能性があるとの指摘もあります。
寺田氏は当初、自分は同後援会の代表ではないなどと責任逃れの答弁を続けました。しかし、その後、領収書の中に後援会宛てでなく「寺田稔」宛てのものが何枚もあったことが発覚し、寺田氏は、自分の名前を使ったものは確かにあった、などと苦しい釈明に追い込まれました。
自身の「政治とカネ」疑惑をまともに説明できず、ごまかしと居直りを続ける寺田氏に、政治資金や選挙制度などを所管する閣僚にとどまる資格はありません。
首相の任命責任問われる
寺田氏は岸田首相の出身派閥「宏池会」所属で、選挙区も同じ広島県です。総務相就任の今年8月まで岸田首相の補佐官を務めており、首相側近の1人です。
問題閣僚をかばい続ける政権が国民の信頼を失うことは山際大志郎前経済再生担当相の問題で証明ずみです。秋葉賢也復興相も政治資金の不透明な流れが追及されています。「政治とカネ」をめぐっても岸田首相の任命責任が厳しく問われています。








