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2022年11月6日(日)

徹底追及 統一協会 信者2世編III(上)

洗脳合宿20日間

小中高生400人 全身たたき「除霊」

写真

(写真)清平修錬院での集合写真。前列右から2人目は、統一協会で当時「大母様」と呼ばれていた金孝南氏(提供写真、一部加工)

 蒸し暑いプレハブのような小屋。屋内の地べたに子どもたちがぎゅうぎゅうに座り、自分の体をたたいています。疲れてもたたき続けるのは「悪い霊が体から飛んでいく」と教えられたから。

 1990年代の夏、韓国の統一協会(世界平和統一家庭連合)の清平(チョンピョン)修錬院(当時)。日本中から集まった小中高生の信者の子、約400人が20日間、缶詰め状態で「修練」という名の“洗脳合宿”を強いられました。

 「統一協会ではたたいて除霊することを『役事』と呼びます。首や胸、脚などをたたきました」。そう話すのは、当時中学生だった祝福2世の女性Aさん(30代)です。統一協会では、集団結婚した信者の子どもを「祝福2世」と呼び、「神の子」扱いします。Aさんも、祝福を受けるため計120日間、数回にわたり清平修錬院に行かされました。

ひたすら音読

 早朝に山に登って祈とうをしてから午後9時の祈とうまで、役事と講義の繰り返し。20日間、1日も休みがなかったと言います。

 「自由な時間がほとんどなく、とにかく疲れて眠かったです」

 役事は1日3回、毎回約1時間行うため体力が奪われました。背中は後ろの人にたたいてもらいます。たたき方が弱いと「悪霊が出ていかない」と言われてしまいます。

 「特に生殖器は罪だとされ、そこに一番悪霊がたまっていると信じ込まされました。なので、みんな自分でたたきました」

 講義では統一協会の教義『原理講論』をひたすら音読させられることもありました。意味も分からず、眠くなってしまうと隣の子が起こしたり、自主的に後ろに立ちにいったりしました。

シラミや風邪

 トイレは“ぼっとん便所”でした。毎日シャワーを浴びる余裕がなく、洗面所で髪を洗うことも。小屋には大きな扇風機しかなく、子どもたちは「暑いね」と言いながら扇風機を囲みました。

 布団はなく、男女分かれて雑魚寝です。寝袋は共用で、干すのは2、3週間に1度。前日に誰が使ったかも分からない寝袋は、汗の臭いが染みついていました。

 洗濯は講義の合間の10分ほどの休み時間に急いでやります。洗濯物はその辺りに干すしかなく、下着は男性に見られないよう工夫しました。

 「着替える場所には屋根しかありませんでした。思春期でしたし、地獄だったなと思います」

 食事時になると食堂に長い列ができました。朝には乾ききったパンと牛乳、昼と夜に韓国食が出されました。

 「辛い物を食べられない子はきつかったと思います。食堂のご飯が嫌で、売店で買う子もいました」

 不衛生な環境のもと、シラミや風邪がはやることも。しかし、治療されないどころか「風邪は悪霊が出て行った証拠だ」と説明されました。

 「少しずつ改善されているみたいですが、当時はこんな状況でも親は自分の子に幸せになってほしいため、子どもを修練に送ってしまうのです」

 (統一協会取材班 つづく)


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