2022年10月28日(金)
きょうの潮流
初霜や初冠雪、冬のたよりが届きはじめました。冷え込む夜には、身も心も温まる鍋料理が恋しくなる季節。おでんもその一つです▼あなたが昨年の秋冬に食べた鍋料理は? 食品メーカーの紀文が家庭の鍋料理を毎年調べていますが、開始以来おでんが23年連続で1位を記録。好きな鍋ランキングでも常に上位に入り、まさに国民食といえるでしょう▼事典によると、おでんの語源は豊作を祈願する田楽(でんがく)。拍子木形に切った豆腐に竹串を打って焼いた豆腐田楽がルーツで、室町時代に生まれています。その後こんにゃく田楽が現れ、江戸の頃には煮込み田楽が庶民に愛され、やがておでんに進化していったといいます▼戦後は家庭料理として普及。種も増え、郷土によっては具材も味付けもとりどりに。しかし変化はしても、先の調査では、大根や玉子、こんにゃくやちくわ、はんぺんやさつま揚げといった定番の種が中に入れる上位を占めています▼安くておいしい家庭の味ですが、そこにも値上げの波が押し寄せています。食材や調味料、燃料代も。ところが、政府の対策は旅行や外食の支援が目玉で、場当たり的な対応に終始しています。一方で医療や介護、年金といった生活の根っこにかかわることは負担が増すばかり▼コロナ禍や物価高で各国が消費税の減税にふみだしているなかで、政府の税制調査会ではさらなる引き上げを求める声が相次ぎました。進化していくおでんも基礎があればこそ。くらしの土台を崩させてはなりません。








