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2022年10月26日(水)

きょうの潮流

 命にかかわる仕事がしたくて獣医師になった青年は、やがて身内の反対をおしきり政治の世界へ。「グローバルな視点で“いのちの価値”を見つめる」。今も昔もこの一点にまっしぐら▼自民党の山際大志郎衆院議員が自身の経歴を漫画にしてホームページで紹介しています。強調される命の価値とは何なのか。詐欺商法や高額献金で人びとの生活を壊し、周りの財産や命さえ奪ってしまうカルト集団と深くつながってきた人物なのに▼統一協会との接点が次つぎと明るみに出ていた山際氏が経済再生相を辞任しました。海外に行ってまで教団の会合に何度も出席し、韓鶴子総裁ともたびたび面会して集合写真にも納まる。それを指摘されると「記憶がない」「資料がない」を連発▼すべて後追いで人を食った釈明をくり返してきたことがさらに批判を広げました。辞任会見でも、数千や数万の会合を全部覚えているほうが不自然だと開き直り、説明責任を果たすとしながら資料を1年ごとに捨ててしまうという矛盾を平然と口に▼閣僚や国会議員はもちろん、人としても疑わしい人物をかばい続け、くらしや命にかかわる経済やコロナ対策の担当相に用いた岸田首相の責任は重い。しかも、ここにきての辞任は教団とのかかわりではなく、国会運営だというのですから▼まだ内閣や自民党内にはずぶずぶの関係を抱えた人がたくさん。これから関係を断つとはいうものの、これまでにはふたをする岸田首相。いまも泣いている被害者の声も聞かずに。


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