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2022年10月25日(火)

刑法の性犯罪規定

新たに「拒絶困難」の要件

法制審部会試案 改正限定的の危険

 刑法の性犯罪規定の改正を議論している法制審議会(法相の諮問機関)の部会は24日の第10回会合で、強制性交等罪や、性行為の同意を自らできるとみなされる性交同意年齢などの見直しに向けた試案を提示しました。「暴行・脅迫」「抗拒不能」に代わって「拒絶困難」の要件を設けるもので、被害者の意思に反する性交が十分に処罰対象とならない可能性があります。同意年齢の引き上げも限定的。被害の当事者や支援者からは強い懸念や批判の声が上がっています。


 試案は、強制性交等罪の「暴行・脅迫」要件と準強制性交等罪の「抗拒不能」要件を統合・整理。被害者を「拒絶の意思を形成、表明、実現困難」にさせた場合や、困難な状態に乗じた場合を処罰するとしています。

 具体的には、暴行・脅迫のほか心身の障害、アルコール又は薬、「虐待に起因する心理的反応」など8項目を列挙。上司と部下や教師と生徒など地位・関係性の利用を念頭に「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」を盛り込みました。

 他方で、被害当事者や支援者の要望が強かった地位・関係性を利用する罪の新設は見送る方向です。

 現行13歳未満の同意年齢については、新たに13歳以上16歳未満も対象にしつつ、被害者との年齢差が5歳以上ある者が、被害者の「対処能力が不十分であることに乗じて性交等をしたとき」という要件を付しています。13歳未満への行為については、これまで通り同意の有無を問わずに罪とします。

 公訴時効は、性犯罪全般について5年延長。これにより強制性交等罪の時効(現行10年)は15年となります。

 同日の会合では、「拒絶困難」要件は「拒絶」の義務を負わせているように見えるとの懸念や、別の言葉への言い換えを求める意見が出て引き続き検討となりました。次回は11月14日の予定です。


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