2022年10月24日(月)
きょうの潮流
世界最大の軍事力をもつ軍隊の起源はボランティアでした。17世紀の前半、町を守るため有志によって組織された武装団体。のちに義務化された州兵にいたる民兵が、近代アメリカ軍隊の主流でした▼独立戦争を指導したワシントンは正規軍をつくりましたが、その後に解体。理由は世界で最初の人権宣言といわれるバージニア権利章典の一節にありました。「平時における常備軍は、自由にとって危険なものとして避けなければならない」(大江志乃夫著『徴兵制』)▼いま兵役につくことの意味が改めて問われています。ウクライナ侵略を続けるロシアでは徴兵から逃れようと国境をこえる姿が後を絶ちません。「これはロシアの自国民に対する戦争だ」と批判する若者も▼世界的な人気グループ「BTS」のメンバーが兵役義務を果たすと発表した韓国では、その是非をめぐって議論がふっとう。免除の公平性や女性にも徴兵を求める意見まで▼彼らが戦場に行かず兵役にもつかずに生きていけるよう、世界のあらゆる紛争や武力行使、緊張を緩和するために何ができるか。学び、語り合いたいと発信する日本のファンもいます▼先の大戦後、欧州は徴兵制を相次いで廃止しましたが、ロシアに近い国々は次つぎと復活を表明しています。対立を激化させる力による争い。それは政権が大軍拡にひた走る日本でもひとごとではありません。国家によって人間の幸福とは最もかけ離れた戦争に駆り出されていく不条理。目はそこに注がれています。








