2022年10月19日(水)
主張
異常円安の進行
物価上昇を上回る賃上げこそ
外国為替市場で円安が加速し、物価をいっそう押し上げています。岸田文雄政権も日本銀行も円安に打つ手がなく、金融政策は完全に手詰まりです。無為無策のままアベノミクスを続けることは許されません。賃上げや消費税減税で日本経済を活性化させなければなりません。
完全に手詰まりの緩和策
1月には1ドル=115円程度だった円相場は150円台に迫り、32年ぶりの安値です。これだけでも輸入物価が年初から3割上がる要素となります。
原因はアベノミクスの「第1の矢」とされた「異次元の金融緩和」です。日本銀行が巨額の国債を買い取って大量のお金を金融市場に供給することで超低金利と円安を誘導し、海外投資家による日本株買いを促しました。日銀と公的年金積立金の二大公的マネーを株式市場に投じたことと相まって株価をつり上げました。大企業、大資産家は株高で大もうけしましたが、賃金は上がらず、格差が広がる一方です。日本経済の成長も止まったままです。
世界の主な中央銀行の中でいまだに大規模な金融緩和を続けているのは日本だけです。米国、欧州の中央銀行は物価高を抑制するために政策金利の大幅引き上げに踏み出しています。
金融正常化への方向性を示せない日本に対して、金融市場で円が急速に売られています。低金利を固定化する異次元緩和に日本が固執する限り、米欧との金利差が開き、円安が加速し物価が上昇します。
金融政策が行き詰まっても、岸田政権と日銀はアベノミクスをそっくり継承しています。
岸田首相は「円安のメリットを生かす」と称して物価高の原因にメスを入れようとしません。外国為替市場に1回だけ円買い・ドル売りの介入を行いましたが、効果はありませんでした。
黒田東彦日銀総裁は2013年の就任当初から異次元緩和について「賃金が上昇する中で緩やかに物価が上昇していく」と説明してきましたが、今起きているのは賃金が上がらず、物価だけが急騰する最悪のインフレです。
実質賃金は1997年をピークに低下しています。2022年の賃上げは大企業でも2%程度で、物価高に追いついていません。この期に及んでも政府・日銀は2%の物価上昇を続けるために異次元緩和の継続を表明しています。
岸田首相は「構造的な賃上げ」を言いますが、賃上げ減税など効果があがらなかった従来型の施策しか示せません。
大企業の内部留保活用を
全労連は月2万5000円以上の賃上げを23年の春闘の目標に提起しました。大企業の内部留保は22年3月末で484兆円と過去最高であり、体力は十分です。
日本共産党は、アベノミクスで増えた大企業の内部留保から賃上げや設備投資分を控除した上で時限的に課税することを提案しています。大企業労働者の賃上げを促すとともに、課税で生まれる10兆円の財源を中小企業の賃上げ支援に充て、最低賃金を全国一律時給1500円以上に引き上げます。
物価上昇を上回る賃上げの実現は急を要します。大企業の内部留保を賃上げに活用する構造をつくることこそ政治の責任です。








