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2022年10月16日(日)

主張

保険証24年秋廃止

国民不在の乱暴な方針撤回を

 現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化させると岸田文雄政権が表明しました。マイナンバーカードの取得は法律で任意とされています。国民皆保険のもとでほとんどの国民が持つ健康保険証をなくしてマイナンバーカードに統合するのは事実上の強制です。カードの普及が進まないのは、国民が必要としていないからです。生活に欠かせない保険証と引き換えにマイナンバーカードの取得を迫るのは強権的です。

カード取得を事実上強制

 政府はこれまで、現行保険証を「原則廃止」する方針でしたが、今度は期限を切った一律廃止を打ち出しました。

 マイナンバーカードを持たない人の医療についてはこれから対策を考えるという無責任な姿勢です。認知症など手続きが困難な人たちへの対応も見えません。

 マイナンバーカードを必要ないとしている人を脅して取得を強いるやり方は、政府への不信を強めるだけです。

 マイナンバーカードの交付率は9月末時点で全人口の49%と半分以下です。保険証を一体化させた「マイナ保険証」は昨年10月に運用が始まりましたが、利用者はいまだに全人口の約2割しかありません。

 デジタル庁が8~9月に行ったアンケート調査によると、マイナ保険証を申し込まない主な理由は「メリット・必要性を感じない」29%、「手続きが面倒」19・4%、「情報流出が怖い」14・7%などでした。

 医療現場からも保険証廃止に異論が出ています。

 マイナ保険証の表面に被保険者の情報は書いてありません。医療機関は専用の電子システムを導入し、端末機器で被保険者の資格をいちいち確認することを義務づけられます。現行保険証なら目視で確認できるのに費用と手間をかけた対応が必要となります。

 全国保険医団体連合会(保団連)が医師・歯科医師を対象に8月に行ったアンケートでは、保険証の原則廃止とオンラインでの資格確認の義務化に約8割が反対しました。「医療従事者はコロナで大変。こんな時にやる必要性を感じない」「ほとんどメリットのない制度。医療機関・患者双方に負担」「拙速しかも高圧的」など怒りの声が数多く書き込まれました。

 マイナ保険証を利用できる医療機関は現時点で3割しかありません。導入した医療機関からはシステムなどのトラブルが報告されています。保険証廃止を強行すれば混乱は必至です。

政府は信頼されていない

 政府は、マイナ保険証から個人情報は流出しないと説明しますが、納得は得られていません。昨年の国会では、政府系金融機関の顧客情報や行政が持つ個人情報の外部提供が明らかになりました。

 個人情報保護をないがしろにして個人データを集め、管理・利用する政府に国民は強い不信を抱いています。個人情報収集の入り口に位置づけられているのがマイナンバー制度です。制度の見直し、廃止が必要です。

 健康保険証廃止・マイナンバーカード一本化に反対するネット署名が緊急に呼びかけられ、急速に広がっています。国民が望まない方針は直ちに撤回すべきです。


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