2022年10月9日(日)
オスプレイ クラッチ不具合で飛行不能
ノルウェーで事故 全機待機命令の理由に
本紙に米軍認める
![]() (写真)クレーンで引き上げられるCV22オスプレイ=9月27日、ノルウェー北部セニヤ島(ノルウェー軍提供) |
横田基地(東京都福生市など)に配備されている6機を含め、米空軍が特殊作戦機CV22オスプレイの全機地上待機を命じる契機となったクラッチの不具合をめぐり、北欧のノルウェーで飛行中のCV22にこの不具合が発生して飛行不能に陥ったことが分かりました。CV22を運用する米空軍特殊作戦コマンドは本紙の取材に、この事故が地上待機命令の直接の理由だと明らかにしました。
CV22は8月12日、ノルウェー北部セニヤ島の自然保護地に緊急着陸。飛行不能に陥りました。ノルウェー軍が9月27日にクレーンで引き上げ、撤去するまで約1カ月半、立ち往生していたのです。
この事故をめぐり、特殊作戦コマンドは本紙の質問に、「回収した機体の調査が完了するまで断定できない」とした上で、「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)が緊急着陸の原因だと考えている。この緊急着陸とHCEの可能性が、8月16日から9月2日まで、CV22の地上待機を命じた理由だ」と明言しました。
特殊作戦コマンドはHCEについて、ローター(回転翼)のギアボックスとエンジンをつなぎ、動力を伝達するクラッチが何らかの原因で滑ると説明。ただちに緊急着陸が求められるものの、「制御できない着陸」になる可能性があるとしています。クラッチの不具合は2017年以降で4回、過去6週間でノルウェーの事故を含め2件発生。いずれも、最も深刻な「クラスA」事故に相当するとされています。
特殊作戦コマンドは当初、「HCEの原因を特定するまで飛行再開はしない」としていましたが、9月3日、原因不明のまま飛行を再開。防衛省は「深刻なトラブルを起こすことなく安全に運用できる手順は確立されている」などとして全面的に容認しましたが、「横田基地の撤去を求める西多摩の会」の高橋美枝子代表は、「ノルウェーの事故は深刻であり、飛行再開していいレベルではない」と憤ります。









