2022年10月8日(土)
きょうの潮流
なぜ過酷ないじめが起きたのか。その背景を探求して、再発防止を考えるしくみをつくってください―。過酷なたたかいに、また立ち上がりました▼佐賀県鳥栖市の佐藤和威(かずい)さん(23)。中学入学からの激しい暴力行為と恐喝行為の傷は、癒えません。福岡高裁の不当判決取り消しを求めましたが、最高裁は不受理に。先月、市と県の教育委員会に対して第三者委員会の設置を求めました▼県教委には要望書を手渡しましたが、市教委では…「いろいろな思いが交錯してしまって、弁護士にお願いしました。その後のことは覚えていません」。安心して学校に戻りたい、という願いから目をそむけ続けた市教委の事後対応は「十分な加害行為だと感じた」からでした▼本人や家族への嫌がらせは、時には身の危険を感じるほどに。市教委への要望書でも「市民に正しい情報を発するとともに、申入者やその家族が安心して暮らすことのできる環境を再構築する責務がある」と求めています▼事実の解明に時間がかかるほど、二次被害は強まります。学校での事故や事件でわが子を亡くした親たちも、やむにやまれず裁判を選びました。それなのに「お金がほしいだけだろう」「家庭に問題があったんだ」と中傷され、「亡くなったお子さんは裁判なんて望んでない」「忘れた方がいい」などの声掛けに深く傷ついています▼望むのは真相の解明と再発防止です。和威さんが自らをさらけだしてたたかっていることに、しっかり向き合う必要があります。








