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2022年10月7日(金)

生活保護停止は違法

運転記録提出拒否の親子 鈴鹿市を提訴

津地裁

 三重県鈴鹿市で生活保護を利用していた親子が6日、車の運転記録を提出しなかったことを理由に生活保護の支給を停止したのは違法だとして、市に停止処分取り消しと損害賠償を求める訴訟を津地裁に起こしました。

 身体障害のある女性(80)は、難病で身体障害2級の息子(54)と2019年10月から生活保護を利用しました。息子の通院のために車の使用を申請し、昨年7月に車の保有は認められましたが、通院に使用が限定され、走行距離や使用日時などを記入する「運転記録表」を毎回提出し、市職員が車のメーターを点検することが条件とされました。

 女性はひざが悪く徒歩で長時間移動することが困難で、息子も歩くにはつえが必要です。近くのスーパーまで車なら5分ですが、坂の上り下りがあり、バスは運行本数が少なく不便です。それでも日常的に車を使用することは認められていません。

 親子は移動の自由の侵害として運転記録の提出を拒否。県弁護士会人権擁護委員会に人権救済を申し立て、7月には鈴鹿市に日常生活での使用を認めるよう勧告が出されましたが、市は勧告を無視し9月27日に生活保護を停止しました。

 原告側は、移動の自由、プライバシー権の侵害であり、生活保護法上の裁量権の逸脱乱用で、自動車の日常生活上の利用を禁止することも違法だと主張。

 提訴後の記者会見で、原告の女性は「私たちのようなことが他でも起こらないよう少しでも役に立ちたい」とのべ、息子は「走行メーターまで確認され日常生活を見張られていると感じた。自由もなく、市の対応も上から目線。こうしたことがなくなるとうれしい」と訴えました。

 鈴鹿生活と健康を守る会の下井信夫会長は「県内で運転記録を取るのは鈴鹿市だけで、保護を受けている人を犯罪者のように見ている」と指摘しました。


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