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2022年10月7日(金)

きょうの潮流

 乗ると記憶が失われていく「ミステリーバス」。人の顔がわからなくなる「顔無し族の村」。入るたびに違う感覚になる「七変化温泉」。あっという間に時間がすぎる「トキシラズ宮殿」…▼この不思議な物語に登場するのは架空の主人公でも、知らないだれかでもなく、未来の自分や大切な家族。これからあなたの旅が始まります。それが『認知症世界の歩き方』です▼記憶や五感、時間や空間、注意事や手続きのトラブル。当事者100人の声を専門家とともに旅行記風にまとめ、認知症の人びとが何を感じ、何に困っているのかを伝え、周りの理解を深めたい。筆者でデザイナーの筧(かけい)裕介さんは認知症のある人がくらしやすい社会を実現するためのデザインだといいます▼3年後には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症となり、その数は700万人にもなると政府が推計しています。高齢化社会のなかで認知症との共生はますます重要になっています▼いまコロナのもとで認知症が進む人が増えていると本紙が5日付の社会面で伝えています。当事者や家族らの団体が調べたところ、心身の機能が低下したとの答えが半数以上にのぼりました。介護サービスの利用を減らした人も多く、支援の制限が進行につながったとみられます▼認知症に限らず、政府が推し進める医療や介護の負担増は症状や健康の悪化を招くだけです。コロナ禍の教訓はケア分野の体制を強化すること。みんなが認めあいながら、生きていける世界をつくるためにも。


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