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2022年10月5日(水)

きょうの潮流

 空に描いた放物線はネットを軽々と越えて民家の小屋や畑に達しました。熊本・益城(ましき)町のグラウンド。場外の家には今もたくさんのボールが残されています。「宝物」となって▼今季のプロ野球で王貞治さんを抜く56本のホームランを放ち、史上最年少で三冠王に輝いたヤクルト村上宗隆選手。彼の中学生時代の逸話です。右翼ネットの外に打球がとびだすことから当時の監督は広角に打つよう指示したといいます▼もう一つの教えは思いきりよく振り、球を強く打ち返すこと。目先の結果にこだわって選手を小さくまとめる指導が目立つなか将来へとつながるように。その教えは積極的に打っていく野球をめざした高校時代の監督にも共通しています▼ホームランバッターが育たないといわれて久しい日本球界。そのなかで才能を伸ばし、努力の方向を示してくれた指導者にめぐりあえたことが、現在の村上選手をつくりあげたといえるでしょう▼一方、暴力で従わせる指導者も後を絶ちません。兵庫の私立高校では女子ソフトボール部顧問の男性教諭が部員の顔をたたき、あごが外れたまま5時間も立たせて暴言を浴びせました。翌日も体罰をうけたという部員はショックで登校できない状態だと▼指導に名を借りた暴力がスポーツの現場からなくならないことも現実です。22歳の村上選手には無限の可能性がひろがります。その一方で未来をつぶされた子どもたちの姿も。体罰などもってのほかですが、指導者の役割もまた、とても大きく重い。


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