しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年10月4日(火)

生活保護廃止取り消し

就学中の世帯分離争い原告勝利

熊本地裁

写真

(写真)勝訴の旗を掲げる弁護士と支援者ら=3日、熊本地裁前

 熊本県長洲(ながす)町在住の男性(73)が生活保護廃止は違法だとして、熊本県に処分の取り消しを求めた「生活保護廃止処分取り消し訴訟」(長洲事件)の判決が3日、熊本地裁でありました。中辻雄一朗裁判長は、県の処分を取り消す原告勝訴の判決を出しました。

 訴訟は、孫と同居していた原告が生活保護を受給する際、看護学校に進学する孫については“自らの収入で就学・生活せよ”として世帯分離していたにもかかわらず、孫の収入が増えたからと熊本県玉名福祉事務所長が世帯分離を解除し、原告世帯に編入したうえで生活保護を廃止したことから2020年に起こされました。

 判決では、「就学中の孫と原告夫婦の世帯分離を継続することが双方の経済的な自立に役立つ状況にあったことは明らか」だと指摘しました。

 同訴訟は就学中の世帯分離を解除した初めての事例。原告弁護団は「生活保護世帯の子どもの就学保障によって貧困の連鎖を断ち切り自立を助長する、世帯分離という仕組みの適用に万全を期すことを求めた極めて重要な意味をもつ」と評価しました。

 原告の男性は「この判決を生かして、二度と誤った判断をくださないようにしてほしい」と話しました。

 支援に熊本市生活と健康を守る会の益田牧子会長、県労連の楳本(うめもと)光男議長、年金者組合県本部の小田憲郎委員長らが駆けつけました。


pageup