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2022年10月4日(火)

主張

岸田首相所信表明

国民の批判に応える姿勢ない

 臨時国会が召集され、岸田文雄首相が所信表明演説を行いました。安倍晋三元首相の国葬強行や、反社会的カルト集団・統一協会と自民党との癒着などで岸田政権への国民の不信は高まっています。しかし、首相の演説は従来の説明を繰り返すだけで、批判に応えるものではありませんでした。物価高騰対策やコロナ対応も、これまでの失政への反省はなく、消費税減税など抜本的な政策へ転換する姿勢も見られません。さらに沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設強行や大軍拡・改憲を推進する立場をあらわにしたことは重大です。

急落する内閣支持率

 発足から4日でちょうど1年となる岸田内閣の支持率は軒並み急落しています。臨時国会の開幕当日の3日付の「朝日」調査は、内閣不支持率が50%と半数になる一方、支持率は過去最低の40%です。同日付の「読売」調査では、不支持率が5ポイント増の46%となり、同紙として初めて支持・不支持が逆転しました。国葬を行ったことを「評価しない」59%(「朝日」)、統一協会問題で岸田首相は「指導力を発揮しているとは思わない」80%(「読売」)などと国葬と統一協会の二つの問題で疑念を募らせていることは明らかです。

 ところが所信表明演説で首相は、国葬の成果を誇る一方で、批判の声については「国民の皆様から頂いた意見を重く受け止める」と述べるだけです。安倍氏の国葬が憲法の「法の下の平等」や「思想・良心の自由」を踏みにじったという重大な問題には全く触れません。憲法違反の国葬に、巨額の税金を使ったことにも無反省です。

 統一協会問題では「国民の声を正面から受け止め、説明責任を果たす」とは言うものの、最も深い癒着関係があった安倍氏についての調査に背を向けています。8月の内閣改造で留任させた山際大志郎経済再生担当相をめぐっては、統一協会とただならぬつながりが次々と判明しているのに、首相はだんまりを続けています。首相の任命責任が厳しく問われます。

 所信表明演説では「日本経済の再生が最優先の課題」だと経済問題に大半を費やしました。しかしそのほとんどは、効果の出ていない対策の羅列に終始しました。アベノミクスの柱の一つである「異次元の金融緩和」が異常な円安を招き、物価高に拍車をかけ、実質賃金を目減りさせていることへの反省がありません。首相が「円安のメリット」を強調することは、国民の苦しみに目を向けない冷たい姿勢です。

 100近くの国・地域で、コロナ対応などとして大型間接税(付加価値税)を引き下げています。岸田政権は、暮らしを支えるため、消費税減税などの抜本的な政策転換を図るべきです。

「意見聞く」は言葉だけ

 原発の再稼働や新増設を打ち出し、ロシアのウクライナ侵略に乗じた大軍拡、辺野古の米軍新基地建設を進めるなどと表明したことは見過ごせません。改憲については「発議に向け」「積極的な議論」を促しました。民意に反する軍拡・改憲を許してはなりません。

 首相の「厳しい意見を聞く」というのは言葉だけです。国民の声に耳を貸さず、行き詰まりを深めた岸田政権を包囲し、追い込むたたかいが重要になっています。


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