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2022年10月3日(月)

きょうの潮流

 「僕は数メートルしか歩けない。だけど電動車いすがあり、段差がなければ自由に動き回れる。歩行が困難な“障害者”だとは感じない」。筋肉の難病のある青年が、そう語っていました▼このような障害観を障害の「社会モデル/人権モデル」といいます。体や心の機能に障害がある人にとって、「段差」など社会の側がつくる不利益や排除こそ障害、とする考えです。社会のあり方で障害の軽重が決まります▼障害を、病気や傷害などの健康状態から引き起こされた個人の特性とする考え方は「医学モデル」です。これに基づいて障害者手帳の等級があります。等級に応じて福祉サービスの支給量が決まります▼中等度の難聴がある南由美子さんは手帳を持っていません。障害者として認められないため、不利益や差別を被ることが少なくないと訴えます▼障害者権利条約にもとづく日本政府の取り組みについて国連の権利委員会がこの夏、初めて審査しました。総括所見では、「障害関連の国内法および政策が、条約に含まれる障害の人権モデルと調和していないこと」「法律や規制、実践にわたる障害の医学モデルの永続化」に懸念を表明。障害者を人権の主体として、障害関連の制度改正をするよう政府に勧告しました▼総括所見は、日本の障害者施策の根底に父権主義的な考え方があると指摘します。国は総括所見にしっかり向き合わなければなりません。条約制定時のスローガンをいま一度。「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」―。


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