しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年10月2日(日)

主張

ロシアの併合宣言

力ずくの暴挙 絶対容認できぬ

 ロシアのプーチン政権は、ウクライナ東部・南部4州の「住民投票」で賛成が多数を占めたとして、9月30日、ロシアへの併合を一方的に宣言しました。2014年のクリミア半島併合に続く、武力による隣国領土の奪取です。

 国連憲章は加盟国の主権、独立、領土保全の尊重を定め、武力行使と武力による威嚇を禁じています。併合宣言は、領土拡張の野心のために憲章と国際法を幾重にも踏みにじる大国主義、覇権主義の暴挙であり、直ちに撤回すべきです。

何の効力もない住民投票

 プーチン大統領は、30日に行った演説で国連憲章第1条の「人民の同権および自決の原則」を根拠に挙げました。憲章に対する許しがたい侮辱です。

 「住民投票」はロシア軍の占領下で実施されました。武力で侵略し、銃で脅して強要した投票です。兵士が戸別訪問して投票させたことも国連で報告されています。

 多くの住民が戦火に追われて国内外へ避難しているもとで住民が自由に意思を表明する投票など成立しようがありません。4州の中にはロシアが占領できず、投票が行われなかった地域もあります。どこからみても「住民投票」の結果に効力はありません。

 併合は、東部の二つの「国」、南部の2地域とロシアが「編入条約」を結ぶ形をとりました。いずれも親ロシア派勢力が勝手にウクライナからの独立、分離を宣言したもので、条約締結に正当性はありません。

 そもそもプーチン大統領は侵略開始前からウクライナの主権、独立を認めず、ロシアと一体不可分と主張してきました。ウクライナ人民の自決権を踏みにじっているのはプーチン政権です。

 併合宣言によって侵略戦争に新たな危険が生じます。

 プーチン政権は早速、4州住民を軍事動員の対象とし、ウクライナ国民同士での戦闘に駆り立てています。占領地での徴兵は、ロシア自身が批准したジュネーブ第4条約(文民保護条約)など国際法に反する行為です。

 プーチン大統領は演説で「われわれが持つ、あらゆる力と手段で領土を防衛する」と述べ、核兵器の使用も辞さない姿勢を示しました。核兵器による威嚇を強めたことは重大です。

 他国の領土を奪っておきながら、同地を回復する行動に核兵器使用の脅しをかけるなど言語道断です。核戦争の危険を一段と強める動きです。世界を破滅に導く核兵器の使用を絶対に許してはなりません。

国際世論でさらに包囲を

 併合宣言は戦力不足を補うための予備役動員、核兵器使用の威嚇と一体に行われました。戦況が不利に傾き、追い詰められたプーチン政権が打開を狙ったことは明らかです。

 大規模な動員はロシア国民の反発、忌避を招き、反対デモや国外脱出が続いています。自国民に犠牲を強いて戦争の局面を変えようとしても、大義のない侵略戦争は足元から崩壊の道をたどることになります。残された道は侵略をやめることだけです。

 「侵略戦争をやめよ」「国連憲章を守れ」の声でさらにプーチン政権を包囲することが何よりも重要です。


pageup