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2022年9月30日(金)

記者座談会 「日本共産党100年の歴史と綱領を語る」を読む(1)

三つの特質と先人への敬意

 「自分の党員人生を重ね合わせて確信がもてた」「今年7月に入党したが、これからの50年、100年党を大きくしたい」―17日におこなわれた日本共産党創立100周年記念講演会での志位和夫委員長の講演「日本共産党100年の歴史と綱領を語る」が大きな感動を広げ、「特別期間」推進の力にもなっています。記念講演の魅力や特徴について、取材した記者で話し合いました。


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(写真)記念講演する志位和夫委員長=17日、党本部

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(写真)志位委員長の講演に聞き入る参加者=17日、高知市

100年を貫く特徴がわかる

  記念講演から2週間ほどたつが、ユーチューブでの視聴回数が15万回を超えるなど反響が広がり続けているね。

  党外の識者の方からも「ノートをとりながら聞いた。哲学とヒューマニズムが貫かれた重厚な講演だった」「自分の生きてきた時代をもう一度点検するような気持ちだった」など、あたたかい感想が寄せられている。

  僕は、共産党一筋に生きてきた父の姿が浮かんで涙が止まらなかった。「100年の歴史を、不屈性、自己改革、国民との共同という三つの角度から壮大なスケールで描いてくれた」という感想があったが、そのとおりだと思った。

  講演直前に「日本共産党の100年」が編纂(へんさん)されると発表されたが、通史とはまた違って、党史を貫く一番の特徴が「三つの特質」という整理をされて理解しやすかったね。

  「三つの特質」のどれもが、過去と現在を自在に往復しながら、現在の問題に引き寄せられて論じられているから、党の値打ちがより鮮明になるね。たとえば、「不屈性」をとってみても、ただやみくもに頑張るというのではなく、科学の立場で社会発展の展望を明らかにする先駆性と一体となったものだということを、戦前の天皇絶対の専制政治とのたたかいを通じて語っているし、戦後ではアメリカの対日支配とのたたかい、とりわけその最前線に立ってきた沖縄のたたかいを軸にしながらわかりやすく語っている。

  「自己改革」のところでも、党の綱領を“出来上がったもの”としてとらえるのではなく、自主独立の路線を土台にして理論的・政治的に発展してきたのだという“綱領の理論史”としてとらえることができた。

  「国民との共同」は、自分の活動と重ね合わせて聞いたという感想が多かったが、政治対決の弁証法としてダイナミックに描かれていて、あらためて自分の活動の意義を歴史のなかで据えなおすことができた気がする。

  講演は100年を大胆に描いた叙事詩だと感じたけれど、2時間半が長く感じられないほど、党史を貫く特徴がわかりやすく頭に入ったよ。

全党の奮闘へのリスペクト

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(写真)鶴見俊輔さん

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(写真)加藤周一さん

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(写真)品川正治さん

  私が印象深かったのは、講演後の記者会見で記者から「(講演は)志位さん自身が取材して書いたものか」という質問に対する答えだ。志位さんは「たまたま党創立100年のときに委員長の職責にある者として、党の歴史全体を支えてきた諸先輩や、支えてくれた国民のみなさんへの敬意の気持ちをもって準備した」と語っていた。

  そういう先人へのリスペクト(敬意)に貫かれているのも講演の特徴だね。100年の歴史は先人の苦闘のうえにあるものだし、その思いを未来に伝えようという姿勢が強く感じられた。

  戦前、弾圧で命を落とした先輩党員たち、若くして迫害に倒れた女性党員、さらに党外の方々―戦前の党のたたかいを歴史のなかで位置づけてくれた鶴見俊輔さんや加藤周一さん、戦後、党が苦しい時代に統一戦線運動に力を尽くしてくれた品川正治さんなどの名前も刻まれている。

  なにより全党の党員へのリスペクトが込められていると感じた。「全党の不屈のたたかい」とか「全党の奮闘と努力」という言葉が随所に出てくるけど、言葉だけでなく草の根で奮闘する党員一人一人の姿を思い浮かべたと思うよ。

  志位さんは17日の会見で「亡くなられた方はもうものが言えない。そういう方々の思いを100年にあたって未来に伝える責任がある」と語っていたが、その思いは受け止められたんじゃないかな。

反共攻撃への回答示された

  志位さんは、講演前の15日の記者会見で「この間、わが党の綱領と歴史に対して、事実に基づかない攻撃がさまざまな形で行われてきた。記念講演の主題は『日本共産党100年の歴史と綱領を語る』というものだが、そのなかで不当な攻撃に対する私たちの回答も行うつもりだ」とのべていた。

  昨年の総選挙の前後から露骨な反共本が出版され、メディアの社説や特集記事、学術書の体裁をとった本など、さまざまな党攻撃があったからね。これらに対して大きな角度から、痛烈な回答を示したと思うよ。

  大きくいえば、戦前では絶対主義的天皇制とのたたかいの歴史的意義を見ようとしない議論への回答、戦後は日米安保条約容認を迫るなどアメリカの対日支配とのたたかいをめぐる攻撃への回答が鮮烈だった。

  戦前では1935年の党中央委員会の活動停止をもって「党は壊滅した」と断ずる議論に対して、宮本顕治・宮本百合子夫妻の12年のたたかいを「戦後の新しい社会を準備する豊かな営み」として紹介したのは印象深かった。

  「わが党綱領への攻撃の一つの焦点は、『現実的な安全保障政策に転換せよ』と、日米安保条約容認の党への変質を迫るものとなっています」とのべたあと、対話による平和創出か、それとも「日米同盟」絶対化で「軍事対軍事」の悪循環に陥るか、「どちらが現実的でどちらが非現実的か」と迫ったところは、見事な回答だね。

  「暴力革命の党」という誹謗(ひぼう)・中傷にも、綱領制定過程をつぶさに検証して、「日本共産党の綱領路線は、『暴力革命論』との徹底したたたかい、否定のなかで形成されてきたもの」と断言し、公安調査庁の「妄想」を退けたあたりも痛快だ。

  100年を語った講演だけに、読みどころ満載だ。「三つの特質」、リスペクト、反共攻撃への回答、これらをキーワードに講演の内容を学んで全党に広げていきたいね。

 (つづく)


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