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2022年9月27日(火)

主張

きょう安倍氏国葬

憲法違反の儀式強行許されぬ

 広がる反対世論に逆らい、岸田文雄政権はきょう、安倍晋三元首相の国葬を実施します。法的根拠のない憲法違反の儀式を、約16億6000万円の税金を投じて強行することに断固抗議します。

 国葬開始と同時刻の午後2時から始まる国会正門前での国葬反対大行動をはじめ、全国津々浦々で集会や宣伝などが計画されています。安倍氏の政治を礼賛することになる「敬意」と「弔意」の押し付けを許さず、「民主主義を守ろう」の声を響かせましょう。

根拠も理由も説明できず

 国葬を定めた法律は、いまの日本にありません。戦前は1926年制定の国葬令があり、天皇や皇族、「国家に偉勲ある者」が対象でした。アジア太平洋戦争中、戦死した山本五十六元帥の国葬をはじめ、国威発揚・国民統合の手段にされてきた歴史があります。

 国葬令は、日本国憲法の施行(47年)とともに失効しました。その理由として政府は「現行憲法の精神と相容(い)れないような性格を有する」(2017年、内閣法制局)という見解を示しています。

 戦後の国葬は1967年の吉田茂元首相の例だけです。佐藤栄作内閣が閣議決定を根拠に強行したことに批判が相次ぎました。75年の佐藤元首相死去の際、自民党内で国葬を求める声が出ましたが、法的根拠がないことなどから三木武夫内閣は断念しました。その後、首相経験者は内閣と自民党の合同葬などの形が主流でした。

 55年間、途絶えてきた国葬をなぜ復活させるのか。岸田首相は、在任期間が最長だったことなどを挙げますが、安倍氏だけを特別扱いし、全額税金でまかなう国葬を行う合理的な理由にはなりません。「法の下の平等」を規定した憲法14条に反することは明らかです。

 首相は、国葬に法的根拠は必要なく、時の政府が総合的に判断して決めるのが「あるべき姿」(8日の衆院議院運営委員会)と述べました。首相や政権党の政治的思惑や打算で国葬の可否を決められるというのは、法治主義の乱暴な破壊です。安倍氏国葬の道理のなさは鮮明になるばかりです。

 首相は「国民に弔意を強制しない」と繰り返します。一方で「故人に対する敬意と弔意を国全体としてあらわす儀式」と国葬の意義を強調します。国民主権の国で「国全体」とは「国民全体」を意味します。これは国民挙げて安倍氏に弔意を示すことです。国葬強行そのものが、思想・良心の自由を保障した憲法19条違反であることはごまかせません。さらに安倍氏への「敬意」とは安倍政治の全面的肯定を国民に要求することです。

 安保法制を強行した立憲主義破壊、格差と貧困を拡大した「アベノミクス」、「森友・加計・桜を見る会」など国政私物化を横行させた安倍政治の8年8カ月を是認することは到底できません。ましてや統一協会と深く結びついた安倍氏の責任を不問にすることは絶対に許されません。

岸田政権の責任ただそう

 首相が国葬実施を表明した7月以降、反対の声は急速に広がりました。7月のメディアの世論調査は賛否が拮抗(きっこう)していましたが、最新調査は反対が多数です。首相が説明するたびに反対が増加する傾向を示しています。道理のない国葬を決定し、あくまで実施に固執する首相の責任は重大です。


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