2022年9月27日(火)
きょうの潮流
関東近県から1週間がかりで買い占めたという菊の花、陸上自衛隊のぎょうぎょうしい配備や都内各所の交通止め―。55年前、ときの佐藤内閣が強行した吉田茂元首相の国葬の様子です▼大手メディアが賛辞をささげるなか、全国で展開された抗議活動を本紙が伝えています。多くの労組が職場集会を開いて街頭宣伝を行い、各大学でも学生たちが決起。ある大学では黙とうの時刻に国葬についての討論を▼米占領下の沖縄では琉球政府の立法院議長が参列をとりやめ。県民からはアメリカに沖縄を売り渡した張本人への怒りの声がわきあがりました。市民団体も反対声明を出し、生活に苦しむ庶民からは政府へのきびしい批判が相次ぎました▼いままた国民多数の反対を押し切って安倍元首相の国葬が催されます。基準も法的な根拠もない憲法違反の儀式をくり返す愚行。まさに台風による断水で大勢が、異常な円安や物価の高騰で列島中が、悲鳴をあげているなかで▼参列を予定していたカナダのトルドー首相はハリケーン被害の対応で欠席。これで主要7カ国首脳の出席はゼロとなりました。岸田首相がいくら安倍元首相の「外交的遺産」をもちあげても、相手の評価はいかほどか▼日本の良識を示した半世紀前の抗議活動。いま反対を求める声はより大きく、さらにひろがり、現政権を追いつめています。きょう、午後2時からの葬儀開始にあわせ国会前では集会が開かれ、抗議の大波は全国から。国からの強制に抗(あらが)い、民主主義を守ろうと。