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2022年9月26日(月)

きょうの潮流

 あまりにずさんな番組制作ではなかったでしょうか。虚偽の字幕が付いたNHKBS1「河瀬直美監督が見つめた東京五輪」(昨年放送)です▼「金をもらって五輪反対デモに参加している男性」という文字が画面に映し出されました。しかし、この人は五輪反対デモに行ったこともないといいます。この問題に先ごろ、放送倫理・番組向上機構(BPO)が「重大な放送倫理違反」とする厳しい意見書を公表しました▼なぜ、起きたのか。意見書には6回行われたNHKの試写で複数のスタッフがやり取りする中で、虚偽字幕が完成していく様子がリアルに記されています。基本を欠いたあいまいな取材、男性の連絡先の把握もないままにすませたことが要因に挙げられます▼BPOの聞き取りに「デモのことはよく知らない、関心もない」とスタッフらが答えていることにも驚かされます。デモは、市民が意思表示をする、憲法で保障された行為。公共放送の認識のお粗末さが示されています▼コロナ禍で世論を二分しながらも、政府が開催を断行した五輪。NHKの過剰なまでの五輪報道は、政府の意向に沿った形で進められてきたともいえます▼BPOの委員は、半ばねつ造的と強く批判。NHKは総局長が「真摯(しんし)におわびする」としたものの、トップである会長は黙ったままです。総務省はNHKに対して行政指導という形で介入してきました。政府への追随を続けるのか、国民に依拠して信頼を取り戻すのか。あすの国葬中継も注目です。


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