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2022年9月25日(日)

主張

男女の賃金格差

公表義務を力に是正進めよう

 女性活躍推進法の改正省令・告示が7月に施行され、男女賃金格差の把握・公表が企業に義務づけられました。国・地方自治体も同法に基づく開示を行うことが「女性活躍・男女共同参画の重点方針」で定められています。1999年に削除された有価証券報告書での男女別賃金の記載も、2023年度から復活する方向です。

重要な一歩となる可視化

 公表義務化の対象は、常用労働者301人以上の企業1万7650社です。男性労働者の平均賃金に対する女性労働者の平均賃金の割合を算出し、全労働者、正規労働者、非正規労働者という三つの区分で公表します。公表時期は事業年度の終了後3カ月以内です。3月が年度末であれば6月末までに公表しなければなりません。

 政府はこれまで「企業の負担になる」と、賃金格差を把握の必須項目にすることさえ拒んできました。把握にとどまらず公表も義務づけられたことで、企業内の男女賃金格差の可視化が進めば、是正に向けた重要な一歩となります。

 本来、女性であることを理由とする賃金差別は労働基準法で禁止されています。ところが実際は、男性正社員と比べると、女性の賃金は正規で7割、女性労働者の過半数を占める非正規では4割となっています。背景には、非正規雇用やコース別人事などを建前にした間接差別と、昇進・昇格での隠れた差別の横行があります。

 それに対して当事者が実態を突きつけ、差別の存在を告発する裁判闘争が積み重ねられました。芝信金の女性昇格差別裁判(02年勝利和解)では、会社の差別の意図を直接証明できなくとも、結果として格差が存在していることから、男女差別を推認できるという画期的な判例を勝ち取りました。

 今回、男女賃金格差の存在を企業に公表させるルールを国の制度としてつくらせたことは、長年のたたかいと、日本共産党の国会論戦などが実ったものです。

 女性管理職の割合や男女の平均勤続年数など、企業が把握すべき他の項目とも合わせて、企業自身が公表する事実によって差別の存在を認めさせ、是正を進めていくために大いに活用しましょう。

 公表制度には改善すべき課題もあります。正規と非正規の格差が男女差に直結しているため、男性正社員の賃金に対する非正規社員の男女それぞれの賃金の割合を明らかにすべきです。対象も、女性労働者の約半数が300人以下の企業で働いていることをふまえ、少なくとも100人以上の企業に広げる必要があります。

 公表徹底とともに、是正計画の策定と実施を推進する仕組みが不可欠です。フランスでは公表義務を怠った企業に政府が催促し、罰金を科す中で、今年は1000人以上の企業の85%が公表しました。欧州連合(EU)の賃金透明化指令案も効果的な罰金の設定を求めています。罰則を含めた監督制度と体制の確立が急がれます。

関連法に差別禁止明記を

 職場・地域で企業に公表実施を迫り、制度を拡充・改善させましょう。根本的な是正へ、同一価値労働同一賃金と均等待遇、間接差別禁止を関連法に明記させましょう。世界では「イコール・ペイ(同等賃金にせよ)」の声が広がっています。ジェンダー後進国日本でこそ、この声を強める時です。


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