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2022年9月25日(日)

きょうの潮流

 「日本の映画界に立ちはだかる課題について自分の気持ちをお話しできたら」。東京国際映画祭で、2年続けて“広告塔”を務める俳優・橋本愛さんのあいさつが注目を集めています▼その課題とは、「一番はハラスメント、労働環境の問題…」。「自分に何かできることはないか、と考えた」とも。「世代間の溝」を指摘し、「お互いに聞き合う姿勢が大事」と。若い世代の勇気ある発言に、背筋が伸びる思いです▼2017年、アメリカで始まった#MeToo運動は世界に広がり、日本の映画界でも告発が相次いでいます。それを機に新たな取り組みも。その一つが俳優・水原希子さんの提案で始まり、共産党の吉良よし子参院議員が国会で取り上げた専門職「インティマシー・コーディネーター」の導入です▼「インティマシー」とは「密接な関係」の意味。性的シーンなどを撮る際に、監督の演出意図と俳優の要望を調整し、安心して臨める環境をつくる仕事です。日本の専門家はわずか2人ですが、10月から始まる複数のドラマで導入。俳優から歓迎の声があがっています▼取り組みの根っこにあるのは人間の尊厳です。圧倒的な力関係で、弱い立場の人間が涙をのむことがないように。問題は映画界にとどまりません。政府は18年に財務事務次官のセクハラ事件をめぐり「セクハラ罪という罪はない」とする麻生太郎財務相(当時)の答弁書を閣議決定までしています▼日本の政治、社会の後進性をどう変革するか。今は転換期です。


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