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2022年9月23日(金)

主張

併合・動員・核脅迫

ロシアの侵略拡大宣言許すな

 ロシアのプーチン政権はウクライナ東部・南部の併合に動き出すとともに、大統領自身が21日、テレビで演説し、予備役の動員を発表しました。核兵器の先制使用を辞さない姿勢も表明しました。無法の上に無法を重ね、自国民に犠牲を強い、核戦争の危険を高める暴挙です。戦況が不利に傾いているのは大義のない侵略だからです。軍の態勢を増強しても悲惨な戦争を泥沼化させることにしかなりません。ロシアがなすべきことは侵略の即時中止と撤退です。

たび重なる国連憲章違反

 親ロシア派支配地域の「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」がロシアへの「編入」を問う「住民投票」を23~27日に行い、ロシアは結果を尊重すると言います。両「共和国」はロシアが侵略を正当化するためにウクライナからの「独立」を一方的に承認したもので、国際社会で国家として認められていません。

 しかもこの地はロシアの占領下にあり、住民の自由な意思表示は不可能です。結論は初めから見えています。「投票」に何の正当性もありません。

 もともとプーチン大統領はウクライナを独立国と認めておらず、テレビ演説でも同国東部・南部をロシアの「歴史的領土であるノボロシア」と称しました。

 国連憲章は他国の領土保全をすべての加盟国に義務づけ、侵略を禁じています。武力による他国領土の併合も憲章違反です。

 ロシアがソ連から引き継いだ欧州安全保障協力会議(CSCE)のヘルシンキ最終文書(1975年)も他国を軍事占領して領土を取得することは合法的と認められないと定めています。

 3月に開かれた国連総会緊急特別会合は加盟国の7割を超す141カ国の賛成で、ロシアによるウクライナ侵略を国連憲章違反と決議し、ロシア軍の即時・無条件・完全撤退を要求しました。親ロシア派支配地域の独立承認の撤回も求めています。ロシアは直ちに履行しなければなりません。

 ロシア政府が発表し即日発効した予備役の部分的動員令はウクライナでの軍事作戦強化を目的としています。「部分的」と言っても、30万人を招集する大規模な国民動員です。

 弾圧で抑え込まれていた反戦デモがロシア各地で再び行われています。人権団体によると、モスクワをはじめ主要都市で行動が相次ぎ、弾圧によって38都市で1400人以上が拘束されました。侵略の行き詰まりを打開するため国民を戦争に駆り立ててもプーチン政権が追い込まれるのは必至です。

破滅に導く威嚇をやめよ

 プーチン大統領が、ロシア領が脅威にさらされれば「手持ちのすべての兵器を使う」と述べたことは重大です。以前から繰り返してきた核兵器先制使用の脅しであり、核兵器を違法とする世界の流れに真っ向から逆らう動きです。

 ウクライナの占領地を併合すれば、奪回をめざすウクライナ軍の作戦が核兵器を使う口実になりかねません。他国の領土を奪う野望のために世界を破滅に導くことは許されません。

 国連では第77回総会の一般討論が始まり、各国首脳がロシアの侵略を非難しています。そのさなかでの侵略拡大宣言は国際社会への挑戦です。


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