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2022年9月23日(金)

きょうの潮流

 「母さん!」。兵士たちは傷が痛むと、決まってそう叫ぶ。ここでは、憎しみを糧に生き、憎しみのおかげで生きながらえていた。戦地から戻っても自分の人生がどうでもよく思えてしまう▼ソ連のアフガニスタン侵攻に従軍した看護師の肉声です。帰還兵や息子を失った母親たちの血の流れるような証言。ノーベル賞作家のアレクシエーヴィチさんがそれを聞き取り、『亜鉛の少年たち』にまとめています▼国際友好の義務を果たすという政府の名目で戦場に送り込まれた若者たち。やがて彼らは一人また一人と亜鉛の棺(ひつぎ)に納められ、人知れず家族のもとへ。およそ10年に及び50万人以上を投入し、多くの犠牲者を出した大義なき侵略はその後のソ連崩壊につながりました▼子どもの命は渡さない。プーチン大統領が30万人もの予備役招集を発動したことにロシア全土で抗議デモがひろがっています。次々と拘束されるなか、市民からは「戦争反対」「子どもの未来のために」の声が上がりました▼ゆきづまり、追いつめられながらも、なお戦争を続行しようとするプーチン大統領。親ロシア派が占領するウクライナの領土を併合するため「住民投票」を行うとも。核兵器の使用に再三言及しているのも焦りやいら立ちの表れか▼3年ぶりの対面開催となった国連総会では、ロシアへの非難が相次いでいます。国の内外からあふれ出る、不正義の戦争への怒り。それは、この国の権力がふたたび「亜鉛の棺」に入ることにつながるかもしれません。


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